日本の歴史も理解しておこう。
現象を多面的に捉える材料として、歴史の知識は有効だ。『日本の200年』や『昭和史』を読めば、基礎が身につくだろう。
『日本の200年』アンドルー・ゴードン/みすず書房
著者は米国の歴史学者。徳川将軍家による支配の後期から、20世紀初頭の帝国日本の興隆期、現代日本までを記述。「大局観を養う基礎知識として役立つ」。
『昭和史 1926-1945』半藤一利/平凡社
「文藝春秋」編集長等を務めた著者が日中戦争から太平洋戦争の時代を検証し、なぜ戦争をするのか、「底なしの無責任」がもたらした悲惨とは何かを問う。
ユニークな1冊が『荻生徂徠の経営学』だ。荻生徂徠は江戸中期の儒学者。本書では豊臣秀吉の朝鮮侵攻はなぜ失敗したか、という徂徠の問いと分析が紹介されている。日本は武将任せで中枢の戦略機能を軽視した、というのが徂徠の主張である。中央集権的でトップダウン型の中国、韓国企業に敗れる日本の電機業界の姿は、徂徠の主張と重なり合う。
『荻生徂徠の経営学』舩橋晴雄/日経BP出版センター
豊臣秀吉の朝鮮侵攻の敗因を分析し、江戸幕藩体制のもろさを論じた儒学者・荻生徂徠。彼の主張を紹介し、組織中枢の戦略機能強化の必要を説く。
現在の日本の課題を正しく知ることも重要だ。『戦略不全の論理』は日本企業の利益率の低さを指摘し、その打開策のヒントを与えてくれる。国が置かれている状況を理解し、そのうえで自社の課題を捉え、克服するためのアイデアを示す。経営幹部にはこうした大局的な視点が求められる。今のうちから訓練しておこう。
『戦略不全の論理』三品和広/東洋経済新報社
なぜ日本企業は利益率が低く、戦略が機能しないのか。戦略を立案できる経営者をどう育てればよいかなど、日本企業の抱える問題と解決策を提示する。