その優れた嗅覚で、犯罪捜査に大きな威力を発揮する警察犬。もしあなたが何かの理由で警察犬に追われることになったとき、その追跡を逃れる方法はあるのか。世間の常識を体を張った実験で検証する、ディスカバリーチャンネルの人気番組「怪しい伝説」が、そのテーマに挑戦した。
今回の主役は、ロサンゼルス市警で働くブラッドハウンドのモーガン君。追いかけられる役は、脱獄囚に扮した番組のホストの1人、ジェイミーだ。
まずは、人間より強いにおいを発するモノを、逃走経路の途中に置く作戦。ロケ地となった広大な原野でスタートしたジェイミーは、逃げる途中の道で缶詰の燻製(くんせい)ニシンを大量にばらまく。
スタートから5分後、モーガン君はジェイミーの下着を軽くかぎ、追跡を開始。ほどなく燻製ニシンを見つけたモーガン君、なんと好物だったのかモリモリ食べ始める。ハンドラー(誘導役)に促されて追跡を再開したが、ニシンのにおいが強烈だったせいか、一瞬ジェイミーの逃走経路を見失った様子。人間の勝ちか、と思った瞬間、モーガン君はいきなり走りだし、茂みに隠れたジェイミーを発見してしまった。
次の作戦は、川渡りだ。幅30メートルもある大きな川を、岸から岸に蛇行しながらジェイミーが逃走。最後は向こう岸に渡って物陰に身を潜める。これだけの流れがあれば、人間のにおいなど消えてしまうはずだ。
だがモーガン君はこれも楽々クリア。川辺を少しウロウロした後、ジェイミーの隠れ場所に向かって一直線に泳ぎ出し、簡単に見つけてしまった。30メートルも離れた向こう岸から、なんらかのにおいを感じたのだろう。
狩猟用の防臭スーツを着ても、吐く息をフィルターに通す改造ガスマスクや密閉式つなぎで身を包んでもダメ。ただ1回、3人の共犯者と一緒に逃げ、途中で4方向に分かれたときだけは、モーガン君はちょっと迷って追跡対象を特定できなかった。それでも、2回目のチャレンジでは見事に成功。
ちなみに、麻薬や爆発物の探知犬を使った実験でも、コーヒーの粉やピーナツバター、強烈な香水をしみこませたタオルなどでくるんだ禁制品を、犬はやすやすと見つけ出した。1週間も熟成した、使用済みの赤ちゃん用オムツでくるんでも効果なし。
犬に追われるようなことは、最初からしないほうが身のためのようだ。