あらかじめ対応の基準やルールを明確にする
クレーム対応では「人・時間・場所」を変えると、収束しやすいとされています。対応者が変わることで、相手が冷静になったり、要求が変わったりするケースも多いため、事前にエスカレーションルールを社内で決めておくことが重要です。
例えば、「担当者がお客さまに丁寧かつ十分な説明を○回繰り返しても、納得いただけない場合」など、具体的に回数まで決めておくと、担当者もがんばりすぎずに済みますよね。
前述の厚労省の「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」には、
「各社であらかじめカスタマーハラスメントの判断基準を明確にした上で、企業内の考え方、対応方針を統一して現場と共有しておくことが重要と考えられる」
とも書かれています。
このように、組織として対応の基準やルールを明確にしておくことが、現場のスムーズな対応につながります。
筆者が目撃した「商業施設での事例」
先日、とある商業施設のレジで並んでいると、私の目の前の男性がいきなり、「案内表示がわかりにくい!」と、若手のスタッフさんを怒鳴りはじめました。
その時、スタッフさんが落ち着いて
「わかりにくかったのですね。ご迷惑をおかけし、申し訳ございません。すぐに上の者に申し伝えます」
と言うと、男性は「伝えておけよ!」と言い残し、去っていきました。
ほんの30秒ほどのことでしたが、スタッフさんのすばやく、そして感じのよい対応に拍手を送りたくなるほどでした。これこそ、4ステップのうちの3つ、「リアクション・共感+限定謝罪・対処」、きっと職場内で対応方針を統一して共有しているのでしょう。組織として対応基準は、クレームの拡大を防ぎ、「モンスタークレーマー化」するのを食い止めることにも役立つと再認識したシーンでした。
明日からできる「感じのいいクレーム対応」
クレーム対応で大事なのは、
・事実をしっかりヒヤリングし、適切な対応を伝えること
・理不尽な要求には毅然と対応し、適切にエスカレーションを活用すること
・組織として対応基準を設けておくこと
「申し訳ございません」だけで終わらせるのではなく、相手の感情に寄り添いながら、冷静に対応することが、最終的にはあなた自身を守ることにつながります。
ぜひ、次回のクレーム対応で試してみてください。
※参考:厚労省「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」