ロシアは米中関係をどう見ているのか

中国は平和の仲介者として行動すると同時に、世界の大国としての地位を確立し、「二つの超大国のバランサー」としての役割を担うことを望んでいます。もちろん、ロシアは中国の複雑な状況を考慮し、中国の企業や銀行がアメリカから懲罰される可能性があることを踏まえ、ロシアとの協力を制限することを理解しています。

アメリカの政治アナリストたちが指摘しているように、主に経済的・社会的問題の解決を進めざるを得ない状況では、中国指導部は平和友好的な外交路線をとり始めます。2024年4月、アメリカの大企業のトップが中国に招かれ、習近平国家主席と会談しましたが、このとき中国側は中国経済への積極的な投資を呼びかけました。

ロシアは台湾問題にせよ南シナ海の分割争いにせよ、中国とアメリカの直接的な対立には関与しません。問題は、中国とアメリカの軍事衝突が予測不可能な結果をもたらしかねないこと、アジア太平洋地域やロシア極東に破壊的な影響をもたらす恐れがあることです。さらに、それがロシアと中国の貿易・経済協力に極端に否定的な影響を及ぼしかねないということも考慮に入れなければなりません。

NATOはなぜウクライナ支援を続けるのか

【東郷】西側はウクライナ支援を続けていますが、もはやウクライナが勝利できると思っているようには見えません。

【パノフ】西側の政治コミュニティはウクライナの敗北が明らかであるにもかかわらず、西側の援助によって2025年にウクライナが新たな反転攻勢を開始できると判断しています。2024年5月初旬にもサリバン国家安全保障補佐官が同じことを言っていました。

その一方で、支配的とは言えませんが、別の見方もあります。

フランス国際戦略関係研究所のパスカル・ボニファス所長は、ウクライナにおける西側の利益は死活的に重要なものかと問い、こう答えました。「重要ではない。私たちが問わなければならないのはこうだ。失われた領土を取り戻し、ゼレンスキー大統領が掲げる戦争の目標を実現する可能性はあるのか。それとも、我々はずっとあとになって、さらに多くの人が死んだあとに休戦条約に同意せざるを得なくなるのか。」

ボニファス氏は、時間がたってから休戦条約を結んでも西側諸国にとって何の利益もないと確信しています。彼はこうも述べています。「今日でも停戦に持ち込むことは可能だが、ずっとあとになって同じ条件で停戦が実現するなら、西側に対する信頼はさらに失われる。これ以上命が失われることをどうやって防ぐかを考えなければならない。」

NATO首脳部でさえ、ウクライナがロシアに長く立ち向かえる見込みはないと考えています。2024年4月18日、NATOのストルテンベルグ事務総長は「ウクライナには武器も人員も十分に補充されていない」と述べ、戦場で死にたくないと考えているウクライナ人が増えているという認識を示しました。