国産車・ラーダで戦場に乗り付ける
車両不足により、コンパクトカーを軍事車両の代用品として戦地へ投入するという事態も生じている。英テレグラフ紙は、ロシア軍が車両不足を補うため、軍用車両の代わりに市販のコンパクトカーを戦場に投入していると報じる。
記事に添えられた写真には、白の古びたラーダ(ソ連時代から続くロシアの代表的な自動車ブランド)が写っており、リアウインドウにはロシア軍の象徴である「Z」の文字が貼り付けられている。即席の軍用車両に仕立て上げられたようだ。ラーダの整備は芳しくなく、テールランプの片方は点灯していない。ウクライナの泥道を進んでいたこのラーダは、直後、ドローン攻撃の標的になったという。
テレグラフ紙はこの状況について、「若きロシア兵たちは、ウクライナ軍の砲撃や対戦車ミサイル、ドローンの群れ、地雷の脅威にさらされながら、一般の乗用車で前線に向かっている」と指摘。「通常の銃弾でさえ、ラーダの薄い車体を容易に貫通してしまう」と述べ、兵士たちの危険性を強調している。
アメリカのジャーナリストであるデービッド・アクセ氏は同紙に、「ロシア軍では、民間車両に乗り攻撃することが日常化している」と指摘。軍事用のマーキングを施し、ドローン対策装備を取り付けたラーダがウクライナ軍の陣地を攻撃する映像が、インターネットにも多数流出しているという。
備蓄した装甲車両の限界
こうした装備不足の背景には、ロシアの軍需産業が抱える構造的な問題がある。英エコノミスト誌によると、ロシアの軍事生産能力が限界に達しており、これがウクライナ戦争における深刻な課題となっている模様だ。
大前提として記事は、ロシアが今も戦闘を継続できているのは、冷戦時代から受け継いだ膨大な装備の備蓄があるからだと指摘。ストックホルム東欧研究センターのアレクサンドル・ゴルツ氏は、その歴史的背景をこう説明する。
「当時のソ連指導部は、西側との軍事技術の格差を認識していました。そこで採用したのが、性能の差を数で補う戦略だったのです。平時から装甲車両を大量生産し、数千台規模で備蓄を進めました」
ロシアはこうして生まれた大量の予備車両を後ろ盾に侵攻を進めてきた。ところが、冷戦時代の遺産に頼るこの戦略は、もはや限界が見えてきている。シンクタンクである欧州政策分析センターのパベル・ルジン氏は「新型戦車や歩兵戦闘車両の新規製造どころか、既存装備の改修すら困難な状況に追い込まれています」と指摘する。
«All of the real heroes are not storybook combat fighters either. Every man has a job to do and he must do it. Every man is a vital link in the great chain.»⁰General George S. Patton
— Defense of Ukraine (@DefenceU) February 13, 2025
The combat losses of the enemy from February 24, 2022 to February 13, 2025. pic.twitter.com/IPrCRi4wtI