「これが手間で……」顧客の心の声を聞く

ヤマト運輸 南東京館内物流支店 
ヒカリエセンター センター長 
小西真未

約300軒への集約配送を十数人のスタッフを率いてさばくのは南東京館内物流支店ヒカリエセンターのセンター長、小西真未だ。6年前、宅急便配達のアルバイトをした際、力量を見込まれて館内物流要員として引き抜かれ、翌年には別のビルのセンター長に抜擢された。

「『実はこれが手間で……』といったお届け先の愚痴めいた話から心の声を聞いて、お手伝いできることを見つけ、グループ企業の人と協力してご提案します」

と、話す小西はヒカリエ専用の制服を着用している。この制服こそ、ヤマトが目指す事業の方向性を象徴する。ヒカリエを担当する東京支社ソリューションセールスチームの松浦真樹が語る。

「ビル・タウンマネジメントの事業が他と異なるのは、外では“よきライバル”として戦っている競合他社さんが、ここでは集約配送の協力会社として“よきお客様”“よきパートナー”になることです。だから、われわれは公平公正でなければならない。制服はその意思表示です」

「協力会社」は現在50社ほど。イベントなどで大量の荷物が発生する際、小西はテナントから依頼を受け、どの宅配便や運送会社を使い、どの時間帯に何を運べば最適か、コントロールし、コンシェルジュ的役割を担う。「他社のサービスが適していれば当然使う」という。施設所有者の東京急行電鉄渋谷ヒカリエ運営部の和田卓哉課長はこう評価する。

「最重要顧客であるテナントさんに快適に使ってもらえれば、ビルの価値が高まります。ヤマトさんには価値の最大化のミッションを共有してもらっています」