住み替えを考える際にもっとも気になることは「家がいくらで売れるか」「いくらで貸せるか」ということ。自宅の評価額がローンの残債より低ければ、簡単には売却できない。貸すにしてもローンの支払額よりも低い家賃しか設定できなければお手上げだ。
住まいの資産価値を知っておく。これが極めて重要なのだが、では、いま住宅市場では、いったいどんな住まいの資産価値が高いのだろう。
まずは、マンションから見てみよう。一般にマンションは購入から1年で10%、その後は毎年4%程度ずつ価値が下落するといわれる。そんななかで、価値の下がらないマンションがある。例えば「恵比寿ガーデンテラス壱番館」は、築12年の中古マンションだが、現在の取引価格は売り出し時より9%も高い。03年分譲の「白金タワー」に至っては、新築時価格よりも5割も高い価格で売買されている。
値崩れしない物件の共通点を不動産市場の分析マーケティング会社アトラクターズ・ラボ代表の沖有人氏は、こう解説する。
「飲食店で地域一番店という言葉がありますが、マンションも同じです。その地域で誰もが一番だと認める物件がある。こうした物件は、利便性のよい駅前に程近く、広い敷地に余裕を持たせて建っている。恵まれた環境にあり、地域のランドマーク的存在で、多くの人がその町で一番価格が高いといった印象を持つ。結果として、古くなっても値段が下がりにくいのです」
この傾向は首都圏に限ったことではない。全国どこでもそこに住む“地元の名士”たちが購入したい。住みたいと考える地域一番マンションがある。ただし、これらは周辺相場よりも価格が高い。表にある地域一番マンションも大半が億ションだ。