ネットは「性加害を矮小化している!」と批判するが…
続いて『週刊文春』(同)が、「中居正広9000万円SEXスキャンダルの全貌」というタイトルで記事を出し、リード文には「2023年6月、20代女性X子さんと中居の間で深刻な性的トラブルが勃発」と書かれているものの、具体的に何があったのかは書かれていない。
「SEXスキャンダル」とタイトルにはあるものの、本文中ではその言葉は登場せず、性行為があったのかどうかも、もちろん明示されない。「SEXスキャンダル」は「性行為があった」という意味ではなく、「性的トラブル」を扇情的に言い換えたものだと解釈することもできる。
年が明けて中居が声明文を出すと、テレビや新聞なども大々的に取り上げるようになったが、その際も「女性トラブル」という言葉が多く使われている。
これに対してネット上では「性加害を矮小化している!」といった批判の声も上がっていたが、意図的に矮小化しているのではなく、各社「裏が取れていないから性加害とは書けない」のが実情なのではないだろうか。
当事者不在のまま“中居叩き”が加速していった
『週刊文春』の報道は翌週以降も続いているが、矛先はフジテレビに向いており、2人の間で何が起きたかは詳報されていない。これは、何があったかを知る当事者同士が、示談をし、守秘義務を結んでいる以上、当然のこととも言える。今後も、実際には何があったのかは詳細に取材しづらいだろうし、トラブルの相手とされる女性がそれを望んでいない可能性もある。
つまり、ここまでの流れをまとめると、主に『週刊文春』が発した情報をもとに、SNS上のネットユーザーたちが「性加害だ!」と大量に投稿し、それにテレビ局やスポンサーが反応し、放送中止や打ち切りなどの対応を取っていき、ひいては中居の引退にまでつながってしまったということである。騒いでいるネットユーザーの大半は『週刊文春』のもとの記事自体を読んでいるか疑わしいし、ネットニュースの中には「『週刊文春』がこう報じた」というだけのことを配信する媒体もある。
こうして、“わかったつもり”になる人が増殖。実際に何が起きたかはわからないまま「中居正広は性加害者」という認識が広まり“中居叩き”が加速していった。怒りの矛先は「女子アナの上納だ!」とフジテレビにも向けられ、多くのスポンサーがCMを差し控える動きが加速している。