1次情報ではなく、受け手側に「価値」を付与しつつ情報配信できる教祖のごとき存在が、今、注目の「キュレーター」だ。各分野の第一線を走る識者たちは、普段、誰の情報を頼りにしているのか。一挙公開する。

情報をいかに多くとるかより、どうつなぐか

エコノミスト 
ロバート・アラン・フェルドマン氏

私の職場である証券会社は、非常に情報リッチな環境にあります。みずから求めなくても、各種のデータや数字は自然に集まってきます。意識的に取りにいった場合でも、現代のネット社会はまさに情報に満ち溢れています。

情報を取ることばかりに熱中しすぎれば、時間はどんどんなくなります。だから、私は「注目しているAさんのブログは、毎日読む」などといった手法は取らないことにしています。

毎日、いくつかの情報源にさっと目を通して終わりです。たとえば、ビジネスに関し日本の状況を知るためには日本経済新聞、海外の考え方を理解するにはフィナンシャル・タイムズ電子版。一般紙では日本語の朝日新聞と英語版のデイリー・ヨミウリです。

大切なのは、情報をいかにたくさん集めるかではなく、いかにつなぐかだと私は考えます。情報の1つ1つを点だとすると、それらの点をつなぐ線をどう引くかで、できあがる絵は大きく違ってくる。情報と情報をつないで自分なりの結論を見いだすことに時間をかけたいのです。情報収集はそこに向かうためのプロセスにすぎません。

だからこそ、私は「人より場所」を基準にしています。好きな著者のブログであっても、日によって有益なものもあればそうでないものもあります。その優劣を自分でいちいち判読していたら莫大な時間を食われてしまいます。

そこで、私は信頼できる媒体を読むほうを選んでいるのです。たとえば、1つのテーマを掘り下げ、さまざまな人の意見を掲載している雑誌は、いわば、私の代わりにその雑誌の編集者が「優れたブログ」を選び、案内人として提供しているようなものです。自分で編集者の仕事をしていたら時間はいくらあっても足りません。だから、特定の人を基準にして追いかけるのではなく、雑誌や新聞で優れた情報が集まる場所に目を通すことを選ぶのです。