多くの人が自分のことで精一杯
その原因は、自分が思っているほど、周囲の人はこちらを見ていない……ということに気づいていない点にあります。
つまりは、自意識過剰なことが、大きく関係しているのです。
人というのは、こちらが思っているほど、他の人のことを見ていません。
自分が勝手に「見られている」と思い込んでいるだけで、自分のことで精一杯な人が多いため、見ているようでいて、実は見ていないことがほとんどなのです。
講演会などに呼ばれた際に、私は簡単な実験をすることがあります。
「なぜ人目が気になるのか?」といったテーマについて話しながら、パッとネクタイを上着で隠して、聴衆のみなさんにこう問いかけてみるのです。
「私のネクタイの色を覚えていますか?」
この質問に明確に答えられる人は、滅多にいません。
講演会の「主役」であっても、このくらいの認識ですから、日常的な接触で他の人が自分に関心を持っていると考えるのは、自意識過剰であるだけでなく、自信過剰ともいえます。
「いい人に見られたい」という欲望が、緊張や不安を引き寄せているのです。
一過性の評価を受けても承認欲求が満たされない
人目を気にする人は、「自分を良く見せたい」とか、「賢く見られたい」という欲望が強い人といえますが、その思惑通りに周囲の人たちが受け取ってくれるとは限りません。
自分が勝手に思い込んでいるだけで、相手は何も感じていなかったりするケースが意外と多いのです。
日本人には、学歴や職業だけで「あの人は賢いに違いない」と考える傾向がありますから、賢いフリを装っていれば、ある程度は勘違いをしてくれるかもしれませんが、そんな一過性の評価を受けたところで、承認欲求が満たされることはありません。
人目を気にして、焦ったり、不安になっても、期待したほどの効果は得られない……と考えることが大切です。
裕福な人に見られたいと思って、高価なブランド品を買ったり、高級車に乗ることにも、同じことがいえます。
本当に裕福な人は、大金持ちに見られる必要がありませんから、好みのバッグを持って、好きなクルマに乗っています。
ほとんどの人は、そうしたことを知っていますから、どんなに見栄を張ったところで、「自己満足」以上の効果は手に入らないと考える必要があります。