「感謝の往復」が幸福感を生む

感謝の力は、⾃分にも相⼿にも作⽤します。

ポジティブな感情を持っているときは、⼈に対して自然と優しくしたり協⼒したりできるもの。仕事をしていくうえでも、⼈との関わり合いの中に、うれしい気持ちや幸せな気持ちが芽⽣えていきます。

すると、⾃分の⽴場だけで物事を考えるのではなく、相⼿の⽴場になって物事を考えられるようにもなっていきます。職場で困っている⼈がいれば、⾃然と⼿を差し伸べられたり、協⼒できたりするようになります。

取引先や顧客からも⼈柄を⾼く評価され、信頼に結びつき、ビジネスもうまくいくようになるでしょう。

職場内でも、あるいは取引先や顧客に対しても、共通して大切なポイントがあります。

それは、当たり前になっている「ちょっとしたこと」に「ありがとう」と感謝の意思を伝えることです。

この結果、感謝された相⼿に「返報性の原理」が働き、もっとあなたを喜ばせようとしてくれます。お互いに喜ばれることを繰り返す「感謝の往復」が、強い信頼関係と、幸福感を⽣むのです。

赤いハートを持つ女性の手
写真=iStock.com/Marcela Ruth Romero
※写真はイメージです

感謝をベースに成長を遂げている企業

アメリカにある靴のネット通販会社ザッポスをご存知でしょうか。

ザッポスは、従来型の階層型組織ではなく、ホラクラシー型組織と呼ばれる上司不在のフラットで柔軟なサークル(チーム)型経営としても注⽬されています。

⽶フォーチュン誌が選ぶ「働きがいのある企業 100」の上位企業としても有名な、社員に愛されている企業です。

このザッポス、実は、「感謝をベースに成⻑を遂げている企業」とも言えるのです。

私が樺沢先生と一緒にザッポスを企業訪問したときの驚きの体験をシェアさせてください。

社内に⼊ってまず最初に驚いたのは、社員ひとりひとりのデスクが⾃由すぎること。椅⼦ではなく、ランニングマシーンで⾛りながら電話応対している⼈がいたのです!

周囲に⽬を向けると、ギターなどの楽器が置いてあったり、ペットの⽝がいたりと、なんでもあり。社員の個性を尊重し、いかに幸せに仕事ができるかを追求した結果なのでしょう。

その先へと進むと、⽇本では⾒たこともないような怪しい部屋があります。中を覗いてみると、そこはなんと瞑想ルーム。他にもカウンセリングルーム、仮眠室、トレーニングルーム、パソコン修理室などもあるではないですか。

さらには⾷堂は無料だし、医療費も全額会社が負担するなど、まるでオールインクルーシブ型のホテル以上。⼼のケアから⾝体のケアまで会社で取り組んでいることに驚かされました。