世界最大のテクノロジー見本市「CES」が8日(日本時間)から米ラスベガスで開かれている。2025年のテック業界はどのような方向に進むのか。立教大学ビジネススクールの田中道昭教授が現地からリポートする――。(第1回/全3回)
※本稿は、富士通「テクノロジーニュース」の記事〈AIエージェントが描く2025年の世界〉(1月9日公開)の一部を再編集したものです。
AIが「デジタル共存」の中心に
未来を形作る世界最大のテクノロジーショーCES2025に現地ラスベガスから参加している。強烈なワクワク感や期待感に包まれている心境だ。今年のCESで最も注目されたトレンドの一つが人工知能(AI)だ。それは、まさにAIの進化がいよいよ次のステージに進んだことを実感させるものだった。
CES2025の開幕を前に行われたセッション「CES2025 Tech Trend to Watch(注目すべきテクノロジー・トレンド)」でも、AIは、サステナビリティやモビリティとともにトレンドの中核を占めた。
パンデミック後、デジタルトランスフォーメーションの進展に伴い、リアルとデジタルの境界は曖昧になり、人とテクノロジーの相互作用はこれまでにないレベルへと深化した。CES2025では、これを「デジタル共存(Digital Coexistence)」という概念で主要テーマとして提示し、AIをその中心に位置づけた。このテーマのもと、様々なAI関連企業が出展し、AI用半導体、センサー、クラウド、サイバーセキュリティ、ヒューマノイドロボットなどを含む実に多岐にわたるプロダクトやサービス、ソリューション、個々のテクノロジーが展示された。消費者に身近な分野では、AIが組み込まれたスマホやPC、テレビ、自動車、さらにはスマートグラスなどが進化を遂げた。また、これらの端末上でAIを高速かつ効率的に処理するエッジコンピューティングも、次世代ソリューションを支えるテクノロジーとして脚光を浴びた。