直感と論理を行き来できる脳をつくるには

【西成先生】でしょ(笑)。そういう人って過去にいろんな成功体験と失敗体験をしていて、意識せずともちゃんと学習しているんですよ。だからいちいち論理的思考を使わなくても、それなりの精度で答えがでてしまう。私が提唱したいのは、システム1とシステム2をカチャカチャ切り替えながら、システム1自体の精度を上げていくことを「意識的に」行うことです。

数式とニューラルネットワーク
写真=iStock.com/bymuratdeniz
※写真はイメージです

【郷さん】どうやって?

【西成先生】イラストを使ったり、子どもたちに身近な例を使ったりして、できるだけ「意味」を理解してもらうように努めます。機械的に計算を解くだけが算数じゃないので、ちゃんと腹落ちさせたいんです。同時に、算数や数学の世界の面白さも伝えられたら理想かなと思っています。

西成活裕『東大の先生!文系の私に超わかりやすく算数を教えてください!』(かんき出版)
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意識的に直感と論理を行き来する脳を鍛えることは算数や数学に限らず、大人になったときに絶対に役立つと思うんですよ。どっちかに偏っていてもそれは個性として別にいいんですけど、直感と論理を両方使える人ってこれからは希少価値が高いと思うんです。

【郷さん】たしかにAIがより身近な存在になりますからね。

【西成先生】そう、それもあるんです。論理的思考がめちゃくちゃ得意なAIが「自分のもうひとつの脳」として身近にある時代にすでに突入したことを考えると、イメージや直感はなおさら大切だと思うんです。

(イラスト=meppelstatt)
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