歌舞伎町の雑居ビルで待っていた片言の男性

これで最後ならとサクラは思ったという。風俗はおろか水商売の経験もなかったサクラには相当な抵抗があったことだろう。しかし聖夜には簡単に押し切られてしまう。

「本当は吉原とか、すすきののソープでもいいんだけど、自分の彼女がネットとかに出てくるのはいやじゃん……」

その言葉をやさしさからだと感じたサクラはすでにまともな精神状態ではなかった。

週刊SPA!編集部 国際犯罪取材班『海外売春――女たちの選択――』(扶桑社新書)
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サクラは聖夜の指示通り、とある事務所を訪ねた。そこは歌舞伎町から目と鼻の先。新大久保の雑居ビルの一室だった。そこに片言の日本語を話す男が待ち構えていた。男は自分を経験豊富なエージェントと名乗った。

「いろんな国を紹介できるって話で、それぞれの国の話を聞きました。オーストラリアならこういうことしていくらになるとか。でも自分はタワー代の300万円がどうしても必要だったのでマカオにしました。見込みの収入は低いほうだったんですけど、1週間で100万円は稼げる、という話だったので3週間行こうと思って。いちばん近かったのと、ゴムありって言われたのが決め手です」

マカオ行きが決定した。

全裸の写真を撮影され、マカオへ

夕方6時から朝5時まで働いて、基本給はなし。50分間客の相手をして、セックスをすれば一回につき3万円がもらえると説明された。

「日本人は向こうで人気だから一日5人は必ず客がつくよ」とエージェントは言った。

サクラはその場で全裸にさせられ写真を撮られた。「プロフィールとして必要だ。これがあるのとないのでは契約の額が違う」と説明された。

2023年7月末。サクラは溜まっていた有休を使い3週間の休暇を取得した。成田からLCCに乗りマカオに飛んだ。マカオなら飛行機代は自腹だと説明されていた。地元に近い関西国際空港からの便もあったが、成田を選んだ。聖夜が見送りにくると言っていたからだ。しかし聖夜は「体調を崩した」とのことで、結局成田に姿を見せなかった。

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