パワハラにならない「承認サンドイッチ」

【澤円】話をリーダー起点に戻すと、いまは一歩間違えたらすぐにパワハラといわれるといった不安を抱えているために、「チームメンバーをうまく叱れない」と悩んでいるリーダーもたくさんいます。対話のなかでチームメンバーにネガティブな話をしなければならない場面ではどのような工夫をすればいいでしょう。

【越川慎司】わたしが「承認サンドイッチ」と呼んでいる指導方法がおすすめです。いきなりダメ出しをしてしまうと、相手も身構えてしまい受け入れてくれません。ですから、その前にまずは承認をするのです。

ミーティングに遅れてきた若手の部下がいい発言をしたのなら、まず「あれはいい発言だったね」と褒めてあげて承認します。次に遅刻について指摘するわけですが、「遅刻してこなければ『もっといいよ』」といういい方にしたうえで、「次からは気をつけられるよね。いつも頑張ってくれて『ありがとう』」とさらに承認をするのです。

この承認サンドイッチなら、ネガティブな指摘も若手社員が受け入れやすいことがわたしたちの調査でもわかっています。

リーダーから進んで「自己開示」をする

【澤円】マネージャー層としては、チームメンバーのご機嫌を取っておけばいいというわけでもないし、もちろん「とにかくいうことを聞け」という昭和のスタイルで厳しくすればいいというわけでもありません。バランス感覚が重要ですよね。

【越川慎司】人手不足が大きな問題になっていることもあり、離職率を下げるために、従業員の働きがいを高めることが重要であることは間違いありません。ですから、リーダーとしては、働く人にとっての働きがいとはなにかを理解することからはじめましょう。そのためにもまず、自らの働きがいはなにかと考えてみてほしいのです。

そのうえで、「ボーナスが出たあとに家族と食事に行くのがわたしの働きがいなのだけど、みんなはどう?」というようにメンバーに聞いてみましょう。そのように自己開示をすると、89%のメンバーが自らの働きがいについて考え、そのことを明かしてくれるというデータもあります。チームメンバーの働きがいについて知ることができるのですから、それらを高めてあげる方法を考えやすくなっていくことでしょう。

(構成=岩川悟(合同会社スリップストリーム) 文=清家茂樹)
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