母親の救急搬送

2023年12月下旬。87歳になった母親が早朝、自宅トイレで倒れているのを、起きてきた姉が発見。近くの脳神経外科に救急搬送され、CTの結果、左脳出血だとわかる。

朝7時に姉から連絡を受け、すぐに2時間半かかる病院へ向かう。筑紫さんは母親の無事を天国にいる父親に祈った。病室に着くなり、「お母さん! 来たよ! 分かる?」と言いながら母親の手をとると、母親は握り返しながら、言葉にならない声を発した。

ジェスチャーで「右手が動かないこと」を伝えてくる。母親は右半身が動かなくなったうえ、言葉が話せなくなってしまっていた。

その2日後に手術を受け、術後5日目には食事はほぼ1人でできるまでに回復。「ちがう」「ありがとう」「ごめんね」という簡単な言葉なら出るようになり、右肘や右膝を少し動かせるようになった。

翌年2月にはリハビリ病院へ転院し、リハビリをスタート。筑紫さんが面会に行くと「嬉しい」と言い、母親はリハビリを頑張っていた。

しかし2月半ばのカンファレンスに、姉と義兄が出席したところ、主治医に「歩けるようになる見込みは薄い」と告げられる。

母親は病院で、看護師2人体制でのトイレ介助を受けているという。

トイレの個室内
写真=iStock.com/fadfebrian
※写真はイメージです

姉は、

「平日は私も夫も仕事があるので、月曜から金曜はデイサービスを利用して、土日は自宅で介護する。施設入所ではなく通所なら、お母さんも納得するよ」

と筑紫さんに言った。