互いの心に橋が架かり、すぐに親しくなる

相手との一体感が生まれれば、もはや短い言葉で区切ったり、間をとったりしなくても、あなたが思い描いたことが相手へ瞬時に伝わるようになっていきます。まさに「以心伝心」です。

こうなったら、話すスピードを上げても内容はよく伝わるようになります。

聞き手があなたの話を想像し、その話をあたかも自分が体験したかのような気持ちになると、聞き手には本当の共感が生まれます。

あなたの経験した気持ちが心から理解できるのです。「なんとなくわかる」ではなく、「自分のことのように感じる」状態になります。

野口敏『どんな人とも楽しく会話が続く話し方のルール』(三笠書房)
野口敏『どんな人とも楽しく会話が続く話し方のルール』(三笠書房)

そうなれば互いの心がつながったように感じ、一体感はさらに強まります。

私はこの状態を「互いの心に橋が架かる」映像として思い浮かべ、「コミュニケーションブリッジ」と名づけました。

互いの頭の中の映像が一致し話が伝わりやすくなることは、仲のいい二人ならばしょっちゅう起こっている現象です。しかし初対面であっても、短い言葉と相づちの交換で映像が浮かびやすいように話せば、互いの心に橋が架かり、すぐに親しくなることができます。

冒頭で紹介した四つの基本形、つまり、短い言葉で区切り、間をとり、聞き手の相づちを呼び込み、感情を込める伝え方。これは「コミュニケーションブリッジ」を生み出す話し方のことなのです。

一緒にいて居心地のいい人は、映像と気持ちを相手と共有できるように話してくれます。それはまるで、二人が同じ空間に入り、同じものを見て、同じ気持ちを感じているようです。

聞き手は自分が優しく包み込まれているように感じるでしょう。居心地がいいのもうなずけますね。

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