心がグッと近づく!「一体感」はこうして生まれる
お互いが居心地よく、幸せな気持ちになれる話し方について、まずは四つの基本形をお伝えしましょう。
それは、
①言葉を短く区切る
②2秒ほどの間をとり、相手の顔を見る
③相手が相づちを打つのを待つ
④語尾に感情を加える
というもの。
たとえば、「昨日は電車に乗り遅れて10分遅刻したが、課長も遅刻してきて怒られずにすみ、ラッキーだった」という話をするケースで使ってみましょう。
【話し手】昨日、電車に乗り遅れてね〔ここで言葉を区切って間をつくる〕
【聞き手】うんうん
【話し手】10分遅刻しちゃったの〔「の」に「やっちゃった!」の感情を込める〕
【聞き手】あら
【話し手】でも、課長も遅刻してきてさ
【聞き手】へー
【話し手】怒られずにすんだの〔「の」に「助かった!」の感情を込める〕
【聞き手】そうだったんだ
【話し手】ラッキーだった
【聞き手】それはよかったね!
肝心なのは、相手との言葉のやりとりを、しっかりとつくっておくこと。
なぜなら言葉のやりとりをしっかりとつくっておくと、あなたが話した内容が、相手の頭の中にはっきりとした「映像」となって浮かぶようになるからです。
すると、素敵なことが起きます。
あなたの頭の中の映像が、相手の頭の中の映像と重なり合って、一体感が生まれるのです。
私たちは「頭に浮かんだ映像」を言葉にしている
ここで「会話なのに、なぜ〈映像〉?」と不思議に思ったかもしれません。
コミュニケーションは言葉で行なうものと、多くの人は思っています。しかし実のところ、私たちがコミュニケーションするときに使っているのは映像なのです。言葉は映像を届ける道具に過ぎません。
たとえば「子どもの頃、よく見ていたアニメは?」と聞かれたとしましょう。答えようとするあなたの頭にまず浮かぶのは、言葉ではなく、たとえば孫悟空やルフィ、月野うさぎなどの映像のはずです。
あなたはその映像を見ながら「ドラゴンボール」「ワンピースかな」「セーラームーンだよ」と言葉に換えて答えているのです。
まず映像が頭の中で描かれ、それが言葉に変換される――。
この事実を、会話する際に意識してみてください。そして、あなたが頭の中で描いている映像を相手がイメージできるように話してみましょう。
実は、聞き手もあなたの話を映像にしながら聞いています。冒頭で紹介した四つの基本形はその映像化、つまり想像力を促すのに力を発揮するのです。
短い言葉と相づちのやりとりを重ねていくと、互いに浮かべた映像が次第に近づいていきます。
はじめのうちは別々に描かれていた映像が一体化して、二人で同じ映像を描くような感覚になるのです。そうしてお互いが似たようなイメージを持てるようになると、そこに一体感が生まれます。
四つの基本形、どんなときに使うと効果的?
すべての会話で短く区切って話す必要はありません。
使うのは話しはじめなど、「相手がまだ話の概要をイメージできていないケース」、自分が経験した話をするときなど、「相手から強い共感を得たいケース」、あるいは、仕事でホウ・レン・ソウ(報告・連絡・相談)をするときや、お客さんに大事な説明をするときなど、「言葉による誤解を避けたいケース」で用いるのが効果的です。
場に応じて使うものであると受け取ってください。