当社は2011年いよいよ米キャリア社を抜き、空調機器の売上高で世界一となる見通しです。しかし世界一の座が見え、世界各国に事業が拡大すればするほど、人材育成に力を入れていかなくてはならないと痛感しています。当社にはグループ全体で4万人の社員がいますが、そのうち日本人は1万人。急激に海外で事業を拡大したため、国内外で後を継ぐ若いリーダーが、圧倒的に不足しているのです。

そこで、11年4月からスタートする新・中期経営計画「FUSION15」に、新しい人材育成の方針を盛り込むことにしました。世界共通の人事制度と並行して、中国は中国、タイはタイというように各国特有の事情に合わせた人事制度を採り入れ、2本立てでやっていくつもりです。

そこで注目しているのが韓国サムスン電子の人材育成制度です。サムスン電子は各国で現地社員を大量に育成し、現地で商品を開発する方法で新興国のニーズを的確に掴み、ここ5年ほどで驚くべき成長を遂げました。同社では若手社員の人材育成にも力を入れていて、海外研修では本来の仕事を一切させず、文化や生活様式を学び、その国の神髄を理解することに専念させるそうです。なかなかそこまではできませんが、こうした取り組みを、当社に合ったやり方に応用できないかと検討しているところです。

世界で通用するリーダーを育てるには、とにかく「修羅場を数多く踏ませる」ことに尽きると思っています。GDPで世界3位に落ちたといっても、日本は衣食住に恵まれた豊かな国。そこから飛び出し、日本の論理がまるっきり通用しない、カンボジアやラオスなどの開発途上国に行かせて苦労させるというのもひとつの方法です。