処刑人と結婚することで処刑を免れるケースも

刑吏は結婚も同業者同士の家系で行わなければならなかった。処刑人の家系はフランスではサンソン家が有名であるが、スイス、ドイツでも代々同じ家系で継承され、アングストマン(処刑人)、ドルヒャー(殺し屋)、フォルテラー(拷問吏)、テュヒティガー(懲らしめ屋)などと呼ばれた。

処刑人の飼っている動物ですら、牧場のそれと接触させてはならなかった。処刑人が死んでも、名誉ある人はその棺桶に触れると穢れるといわれてきた。

名誉を失った処刑人の身分とかかわるが、処刑される未婚の女性は、処刑人と結婚する場合にのみ命を救われた。これは都市法が定めた決まりであった。ただし二人は町を去り、女性は処刑人と同様に名誉を失った者として一生過ごさなければならなかった。しかし結婚難に悩む処刑人と、死を逃れたい女性の思惑が一致することがあり、結婚のケースはないわけではなかった。