喫緊の危険に警察がようやく動いた

そもそも今回の罰則強化、自転車事故の急増に対して募る危機感が動機だったといえる。

警視庁および道府県警は、それぞれの記者クラブにリリースを撒いて「これからは自転車の罰則を強化する!」と、警察の立場をアピールしてみた。

そうでないと「自転車事故が多すぎる」「警察は何をしてる」との批判に耐えられないからだ。

今回の重点項目は主に2つ。

まずスマホながら運転については、これまで「3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金」だったものを「6カ月以下の罰金または50万円以下の罰金」に強化した。

飲酒運転に関しては、これまで酒気帯び運転(呼気1リットルあたりアルコール0.15mg以下)には罰則がなかったところに、罰則をつけた。

私に言わせると,こんなの「厳罰化」どころか「当たり前」だと思われるのだが(特に酒気帯び運転)、まあメディアで警鐘を鳴らすのは、ワルイコトじゃない。今さらながらの「罰則強化!」ではあるものの、「ながら」も「飲酒」も実際に喫緊の危険だからだ。

地方の自転車乗りの甘すぎる認識

厳罰化が始まってから実際に検挙された事例も報道されている。

11月8日深夜、福岡市でスマホながら運転をしていた29歳の男性美容師を警察官が止めたところ、酒の臭いがしたため呼気を検査したら基準値を超えるアルコールが検出された、などという笑えない例(でも、ありそうな例)があった。もちろんダブル違反で現行犯逮捕である。

徳島県北島町でも11月4日、無灯火運転の20代自転車男を職務質問してみたら、酒の臭いぷんぷんで「赤切符」発行、なんてこともあった。

地方ではこのように自転車の飲酒に無頓着な例が多い。「最近飲酒運転の取り締まりがキビシいから今日の飲み会は自転車で行くよ」なんてヤカラまでいたりして、困ったものなのだ。