ゲーリー・サトウ(バレーボール日本男子代表監督)

Gary Sato
1955年、カリフォルニア生まれ。身長173センチメートル。サンタモニカ高校でバレーボールを始める。1975~77年、カリフォルニア大学サンタバーバラ校バレー部時代はレシーバーとして活躍。78年、ペパーダイン大学で運動生理学の学士号を取得。のち、男子バレーボール米国代表コーチに就任。

バレーボールの日本代表では初めての外国人監督である。58歳。ゲーリー・サトウ氏は静かな口調で抱負を話した。「自分はチャレンジが好きです。初のケースを光栄に思います。日本バレーの歴史を作りたい」と。

日本協会の公募に応募し、約20人の候補から選ばれた。指導実績や強化方法をロジカルに説明できる点などが評価された。外国人になったのは、「嵐を巻き起こせるから」(森田淳悟・強化事業本部長)だった。

サトウ氏は1955年、米国カリフォルニア州で生まれた。選手より、指導者となって能力を発揮する。米国代表コーチとしては、88年ソウル五輪金メダル、92年バルセロナ五輪銅メダルに輝いた。

「バレーボールをラブしています。学ぶことも、教えることもラブしています。課題を発見し、それを解決していくことが大事です。これまでの経験を生かし、日本のチームを是非、強くしたい」

“スマートなバレー”を目指したい、とサトウ氏は言う。スマートとは頭を使うこと、つまり最良のプレーを選ぶ判断力。彼我の戦力分析は当然として、的確な状況判断から、ミスのないスピーディーなバレーを実現できるかどうか、だろう。

「日本の選手はパスがうまい。もっと効果的なつなぎをすれば、攻撃力はアップします。弱点はブロック。ブロックにおけるシステム、戦略、知識をすべて作り変えていきたい」

まずはVリーグを視察し、日本代表候補を編成していくことになる。選手として重要視しているのがメンタル。「自分が求めている部分は、自立していること、情熱を持っていることです」。そう漏らし、日本のキーマンに福澤達哉、清水邦広(ともにパナソニック)、石島雄介(堺)を指名した。

曾祖父が仙台出身の日系4世という。目標はまず五輪出場権の獲得、さらには「リオ五輪のメダル」となる。1972年ミュンヘン五輪の金メダル以来、40年間も五輪メダルから遠ざかっている日本男子。初の外国人監督の下、女子に続き、「バレーニッポン! 復活」となるかどうか。

(松瀬 学=撮影)
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