ギャンブルともいえる2つの試験対策
これを息子と私の状況に当てはめてみます。
・攻めるフィールドを限定する=記述問題の練習に絞る。
・自分の強みに戦力を集中する=息子の強みである思考力で勝負。
「受験まで残り2カ月、息子の置かれた状況は差別化集中戦略を使うしかない」
そう考えて、翌日、息子にこう提案しました。
「今のままだと、麻布には絶対に受からない。だから……」
「お父さんと、ギャンブルしてみない?」
仮説思考と差別化集中戦略から行き着いた、麻布試験対策はこの2つでした。
・ギャンブル② 記述の練習だけを、する。
国語、算数、理科、社会、全4教科の一般的な勉強――漢字読み書きや知識の暗記、計算など全部捨てて、「書くことだけを練習する」ということ。記述力アップだけに完全に振り切った作戦です。
記述力アップのため“山川の日本史”を要約
記述力を上げるために2つの教材を使用しました。1つ目の教材が、山川出版社の教科書『詳説・日本史』です。
なぜ“山川の日本史”だったのか、というと入試までの時間がない中で、「たまたま家にあった」から。息子が小学1年生の頃、日本史や世界史の学習マンガを読んでいた時に、「もう少し内容が深くて読み応えがあるものも読むかな……?」と、私が買ってきたものです。
当時の息子は関心を持たず、“山川の日本史”はずっと本棚の奥にしまい込まれていたのですが、麻布受験の2カ月前にふと思い出して引っ張り出しました。
この“山川の日本史”を「ただひたすら要約する」という課題を徹底的に息子にやってもらいました。あらかじめ、要約する範囲と使うキーワード、文字数、制限時間を決めて、息子に伝えます。
「20ページから21ページまでの内容を、この3つの言葉を使って80字に要約してみて。制限時間は3分」
この要約作戦では、とにかく「頭の中にある情報を整理する」という作業を最優先しました。読む速度の速い息子は、情報を頭の中にたくさん入れることは得意です。
それを取り出す力をつけることが目的でした。同時に“山川の日本史”を要約していれば、自然と歴史の知識も頭に入っていくはずで効率的だと思いました。