「あと28日」ではなく「あと1週間」

4月16日。引き続き水のようなひどい下痢が続き、トイレとベッドを往復していました。胃も気持ち悪く、食事があまり食べられません。体に力が入らず、ヘロヘロになっていきました。

「まずはとにかく移植後1カ月を乗り切ろう。まだ今日で2日。あと28日」と考えていました。

4月17日、Day3です。朝、回診の際に先生が「下痢は抗がん剤の副作用による粘膜障害でしょう。あと数日でよくなると思います」と見込みを話してくれました。看護師さんにも同様に「今が下痢のピークだと思います。移植して1週間も経てば下痢も落ち着くでしょう」と言われました。

医師や看護師さんから「下痢はあと数日我慢すれば治まる」と言われれば、「とにかく数日だけはなんとか踏ん張ろう」とがんばりが利きます。身体的には辛くても、精神的には耐えられます。

今考えると、これは医師や看護師さんからの言葉によるリフレーミングでした。

「いつ終わるかも分からない」苦痛を、先生や看護師さんの言葉で「あと1週間でよくなる」と、より短い時間軸にリフレーミングしてもらったと言えます。

その上で「いつ終わるか分からない」という未来の不安ではなく、「目の前の苦痛」を踏ん張って乗り越えること、つまりプレゼンスにフォーカスすることで、乗り切りました。

夕方、先生と話したときに、また下痢のことを伝えました。すると、「痛み止めの医療用麻薬の点滴を入れると、下痢でトイレに行く回数が少し減ります。減る人は半分になることもあるので使ってみましょう」とおっしゃいます。

実際、点滴して1時間半ほどすると、いろいろと体が楽になってきました。苦しかったお腹が薬で楽になったせいか、空腹感も出てきました。

病院の背景に点滴
写真=iStock.com/Sergii Kolesnikov
※写真はイメージです

40度前後の高熱では身動きできない

翌18日の朝、目が覚めてまず思ったのは、「痛み止めの麻薬の効果はすごい!」ということです。これまで何日も1〜2時間おきに下痢でトイレに駆け込んでいたのに、この夜間はトイレに行きませんでした。

しかしその夜のこと。今度は熱が38度を超えました。看護師さんによると、「臍帯血が増えて、熱が上がってくる時期ですね」とのことで、解熱剤を点滴してもらいました。

4月19日、Day5。

39度を超える高熱が出るようになりました。

常に上昇傾向にある熱を解熱剤の点滴で下げ、しばらくするとまた上がるという追いかけっこでした。とにかく体がだるく、リハビリはストレッチしかできません。リハビリはできるだけ毎日やろうと思っていたものの、40度前後の高熱ではさすがに動けませんでした。