サイバーナイフ
2024年3月には、「サイバーナイフ」と呼ばれる装置を使った放射線治療を3回受けた。
夫は骨転移の痛みが激痛らしく、医療用麻薬を処方されるようになった。
しかし、しばらくすると「サイバーナイフ」が効いたのか、「ずっと痛いのはなくなり、たまに痛いくらいになった」という。
夫は、
「絶対治る。膵臓がんの5年生存率数%に僕は入るよ」
と言い、相変わらずよほど体調が悪い時でない限り、出社し続けていた。
しかし1カ月後、血液検査の数値は良くなっていたにもかかわらず、MRIを撮ったところ、骨転移はさらに広がっていた。
そしてさらにサイバーナイフを5回受ける。
しかし骨転移の痛みは全く良くならないらしく、医療用麻薬を投与する。それでも痛みは和らぐことはなく、夫は時々痛みに耐えるように顔を顰める。それを目にするたびに、笠間さんは不安になった。
「我慢強い夫は痛いとは言わないけれど、我慢していることはわかります。痛くてたまらないのにイライラしたりしない夫はすごいと思います。代わりに、『家にいても痛いのは変わらないし、動かないでいたら動けなくなりそうだから、どこかへ行こう』と言ってきました。だんだん食事量が減り、4月半ばから1カ月で、5キロくらい減ってしまいました」
5月のMRIで、骨転移がさらに広がっていたが、もう「サイバーナイフ」はできないと言われた。この頃、まだ会社に出社していた夫は、社長から直々に、
「無理して会社にこなくても、テレワークでも全く問題ないですよ。ちゃんと結果は出ているから」
と言われたという。
大学を出てから新卒で働いてきた夫は、コロナ禍でのがん闘病を機に、通勤を電車から車に切り替えた。片道2時間かかるうえ、高速代もガソリン代も、会社近くの駐車場代も自腹だったが、抗がん剤治療をしていたこともあり、感染症を防ぐ意味もあった。
医療用麻薬のオキシコンチン5mgも効かなくなってきていた夫に、
「何か私にできることはない?」
と訊ねると、
「そばにいてくれたらいい」
と夫は答えた。
オキシコンチンは一回2錠に増え、頓服としてオキノームが処方された。副作用があるため車を運転することができなくなった夫は、テレワーク勤務に切り替えた。