「自分のために働きなさい」

「私は短大卒業後に東京・新宿にある食品も扱う専門商社に入社しました。最初は人事・総務を担当していました。その仕事は楽しく自分に向いている仕事だと思っていたのですが、2年後に突如、システム開発部に異動となったのです。希望を出したわけではなく、望まない部署だったので、目の前は真っ暗。会社を辞めるかどうか非常に悩みました」

当時は所沢市の自宅から新宿まで長距離通勤する会社員。一方、家業の「ぎょうざの満洲」店舗は10店ほど。先頭に立って働く社長の金子氏とのすれ違い生活は続いていた。そんな状況で、悩む娘に対し父がかけたのは「会社のためではなく、自分のために働きなさい」という言葉だった。

本社横にある川越工場
撮影=島崎信一
本社横にある川越工場

「その言葉の真意を問いただしたわけではないのですが、『仕事を与えられる』受け身の立場ではなく、能動的に働けば道が開けるという意味だったと今になって思います。当時の私の心にはスーッと入ってきて、自分のために働いてみて楽しくなればいいし、ダメなら仕方ないと思いました」