「年金は崩壊する」だから信用しないという指摘

「年金制度はいずれ崩壊するから信用しない」という話をよく耳にします。

年金制度が崩壊したらどうなるかを想像してみてください。

高齢者の約4割が年金だけで生活しています。年金が崩壊すると、その人たちの暮らしは成り立ちません。もし生活保護の対象になったら、生活保護者が急激に増えます。

生活保護の財源は、国が4分の3、地方自治体が4分の1を負担しています。生活保護の受給者が増えれば、税金の負担がさらに増します。ちなみに、年金の主な財源は、毎月の給与から引かれている社会保険料が大半を占めています。

年金制度が崩壊すれば、生活保護のために税金の負担が大きくなるわけです。政府としてはこの事態を避けたいので、年金制度を崩壊させることはありません。ただ、年金の受給額などは、調整が行われます。

年金は払い損になるので、払うだけムダ?

「年金は払った額以上はもらえない。払い損になるから、できれば年金保険料を払いたくない」という意見もあります。とは言っても会社員の場合は、「年金は給与から天引きされているのでしかたがない」なんて考えていませんか?

本当に「払い損」なのでしょうか?

では、日本国内に住んでいる20歳以上60歳未満の人がすべて加入する国民年金で検証してみます。

国民年金の2024年の保険料は月額1万6980円(年額20万3760円)です。40年間納付すると、年金は満額を受け取れます。総支払額は815万400円です。

受け取る金額は、月額6万8000円(年額81万6000円)です。10年間受け取ると816万円になります。65歳から10年間、つまり75歳まで受け取ればほぼ元が取れるわけです。20年で約2倍、30年で約3倍の金額を受け取れます。

したがって、払い損になる可能性はとても低い。むしろお得な制度です。

たしかに10年以内に亡くなれば、損だとは言えます。ただ、死後にお金は必要ありません。使わないのですから、損得も関係ないのです。

しかし、長生きしたときにお金がないと困ります。

年金は長生きのための保険なのです。