「社会的に成功する人」は何が違うのか。医学博士の柳澤綾子さんは「幼少期に与えられたおもちゃの数が少ないほうが、より創造的にふるまう傾向があるという研究結果がある」と指摘する。『自分で決められる子になる育て方ベスト』(サンマーク出版)より、一部を紹介する――。

「好きなことに邁進する人」が社会的に成功する

アメリカの臨床心理学者ジョセフ・バーゴ博士は、著書『Why Do I Do That?: Psychological Defense Mechanisms and the Hidden Ways They Shape Our Lives』の中で、社会的に「成功者」と呼ばれる人たちを研究した結果、名声や富を熱望している場合よりも、ただひたすら純粋に好きなことに邁進まいしんしている人の方が社会的成功の確率がはるかに高いと述べています。

また、ハーバード大学でテクノロジー&起業センター初代革新教育フェローを務めたトニー・ワグナー博士が、2012年に次のように語った書籍と動画が話題となりました(※1)

「これからの社会において必要な能力はイノベーターになる力である。与えられた仕事や事柄をこなす能力ではなく、社会・経済の環境が変化し、社会構造がどんどん変化する時代において、新しい状況に対応して生きていく力を持つことだ」

※1 Wagner, T., & Graham, H. (2014). Creating innovators: The making of young people who will change the world. Unabridged. Prince Frederick, Recorded Books, Inc.

「失敗する機会を与えること」が必要

「新しい状況に対応して生きていく力」はどうすれば身につくのか。ワグナー博士は、「失敗する機会を与えること」だと言っています。

早めに「小さな失敗」ができる機会を与えられると、考えることの大切さを学べます。

子どもを抱いている母親
写真=iStock.com/monzenmachi
考えることの大切さを学べる(※写真はイメージです)

逆に先回りして失敗しそうなポイントを一つ残らず取り払おうとする「ヘリコプターペアレント」として子どもと接してしまうと、この「小さな失敗をできる機会」を失ってしまうのです。

子どもも大人も失敗からは多くのことを学びます。難しいのは、「失敗に価値がある」と頭ではわかっていても、親としては失敗よりも成功を評価したくなったり、失敗して傷つかないように環境を整えてあげたくなってしまうことです。

そこで、「失敗」を「もう一度挑戦できるチャンスを得る機会」ととらえてみるようにしましょう。