外来と入院を合わせた世帯ごとの上限額も決まっています。課税所得が145万円未満の場合は、上限5万7600円(多数回であれば、4万4400円)、住民税非課税世帯は2万4600円、年金収入80万円以下の住民税非課税世帯であれば1万5000円です。
通院でも入院でも金銭面で不安になりますが、どれだけ利用しても1カ月の上限額が決まっていれば医療費に関してかなり安心できると思います。ただし、安いとはいえ、高齢になると一度病気になったり、ケガをしたりすると、回復に時間がかかります。まずは、健康を維持することが大切です。
認知症になったらいくらかかるのか
高齢になると病気も気になりますが、認知症も気になります。認知症に効く新薬が開発されたと話題になりましたが、残念ながら、現段階では治るのではなく、進行を遅らせる薬です。
できれば認知症になりたくはありませんが、今後のためにも知識だけは身につけておきましょう。
2020年時点で、日本の65歳以上の認知症患者数は約600万人とされています。65歳以上の高齢者の約16%です。厚生労働省によると、認知症患者数はさらに増加すると予測されていて、2030年には約700万人、2040年には約800万人に達する可能性があるといいます。
認知症のことで気になるのは、やはりお金のことでしょう。2015年に実施された認知症の医療費に関する調査によると、1カ月の外来の治療費は1人当たり約4万円、入院の場合は約34万円になります。
認知症は進行する病気のため、発症すると医療費が発生する期間が長くなります。負担する医療費の上限が決められているとはいえ、ずっと続くと考えると大きな出費です。
さらに認知症には、お世話をする費用がかかります。24時間365日付き添うことはできないので、訪問介護やデイサービス、ショートステイなど、多かれ少なかれ介護サービスを利用することになります。
介護保険という強い味方がいる
また、自宅で介護するとなると、認知症患者の安全を確保するために家の改装が必要になることがあります。バリアフリーにしたり、手すりを設置したり、浴室やトイレを改造したりなど、内容にもよりますが大きな出費になります。
公的助成制度が利用できる場合もありますが、自己負担が発生することもあります。細かいところでいえば、通院や介護サービスを利用するための交通費もあります。公共交通機関を利用できるならいいですが、専門の送迎サービスがついたタクシーを利用すると、出費は一気に大きくなります。
自宅で介護できなくなったら専門の介護施設への入所という選択肢も出てきますが、自宅で介護するよりもお金がかかります。
施設の種類やサービス内容によって異なりますが、月額20~30万円以上する施設もあります。「そんなお金ないよ」と頭を抱えるかもしれませんが、そんな時の強い味方が、介護保険です。