また、仕事を辞めると社会的なつながりが薄れ、孤立しやすい状況が生まれます。介護生活が中心になると、心も体も疲弊してしまいます。そうした負のループに陥らないためにも、介護休業制度を活用したほうがいいのです。

手元にお金がなくても安心できる「限度額適用認定証」

病気の種類や、症状によっては一度に大きな金額が必要になるときがあります。

例えば、がんが発覚したとすると、治療のために1年間で100~500万円の費用がかかることがあります。高額療養費制度で、ひと月で(月の初めから終わりまで)上限額を超えたお金は戻ってきますが、いったん医療機関に払う必要があります。

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高額療養費制度を利用する場合は、事前に「限度額適用認定証」を発行してもらっておくと、初めから高額療養費制度が適用された自己負担分だけ支払えばよいことになります。

お持ちの保険証に記載されている保険者(会社の健康保険組合や自治体の国民健康保険組合など)に申請してください。マイナンバーカードを健康保険証として利用できる医療機関では、「限度額適用認定証」がなくても、限度額を超える支払いが免除されます。

通常の高額療養費制度では、申請から3~4カ月後に払い戻しされますが、「限度額適用認定証」を病院の窓口に出せば、医療費の支払い金額が自己負担限度額までになります。

介護費と医療費の“ダブル負担”は軽減できる

介護サービスを利用する高齢の親が入院した場合など、介護費と医療費が重なり、それが長期になると大きな負担となるケースがあります。

現在、医療保険と介護保険にはそれぞれ負担を軽減するための高額療養費制度や高額介護(予防)サービス費制度があります。しかし、医療と介護の両方を必要とする世帯においては、これらの制度を利用してもなお負担が大きい場合があります。

そこで、高額医療・高額介護合算療養費制度が役立ちます。

この制度では、1年間の医療費と介護費の自己負担分を合算し、設定された限度額を超えた分が払い戻されます。これにより、医療費と介護費用の負担がさらに軽減されます。わかりやすいので、福島県いわき市を例に考えてみます。

70歳以上(一般世帯)の場合の計算例
夫(73歳)世帯主:夫の自己負担額:医療費40万円、介護費5万円
妻(72歳):妻の自己負担額:医療費20万円、介護費30万円
世帯の負担額:医療費60万円、介護費35万円

医療費と介護サービス費を合算するので、
世帯の負担合計額は60万円+35万円=95万円

限度額は56万円なので、
95万円-56万円=39万円

が医療保険と介護保険から比率に応じて支給されます。

2年以内ならさかのぼって請求できるため、過去の医療費、介護費についてもチェックしておきましょう。

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