在宅・施設サービス、福祉用具のレンタルまで…

介護保険とは、要介護状態にある65歳以上の者または要介護状態にある40~64歳の特定疾患病による者を社会全体で支える仕組みです。

40歳になると加入が義務付けられています。介護保険を使って利用できるサービスは次のようなものです。

①居宅サービス(自宅で介護するときに利用できるサービス)
掃除や洗濯、お買い物から入浴や排泄のお手伝いをしてくれたり、健康をチェックしたり、リハビリの指導をしてくれたりする訪問型、施設や病院のサービスを日帰りで受けられるデイサービスやデイケアなどの通所型、短期間宿泊して受けられるショートステイなどの短期滞在型などがあります。
施設サービス
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)、介護老人保健施設、介護医療院。
その他のサービス
介護ベッド、車イスなどの福祉用具のレンタルサービス、自宅のバリアフリー化や手すりの設置などの住宅改修(支給限度額20万円。利用者は1~3割負担)。

けっこう、多岐にわたって利用できます。例えば、先ほどご紹介した介護タクシーも介護保険が適用されます。ただし、介護保険の利用には条件があります。

介護保険を利用するには、市区町村の窓口で申請を行ない、要介護認定を受ける必要があります。そして、認定を受けた後、ケアマネージャーと相談して利用するサービスを選びます。

注意したいのは、介護保険には利用できる上限額があることです、限度額は、介護度が高いほど大きくなります。もっとも軽い要支援1で月に5万320円、もっとも重い要介護5で月に36万2170円です。

限度額を超えてもサービスは受けられますが、その場合は自己負担になります。

介護する立場になったときに活用してほしいのが、雇用保険の加入者であれば利用できる介護休業制度です。

ほとんど知られていない「介護休業制度」

介護休業は希望したら使える制度ですが、2022年度の厚生労働省による調査では、利用率は1%以下。ほとんど使われていません。本当に、もったいないですよね。その理由として「制度自体を知らない」「活用方法がわからない」という意見が聞かれます。

それに加えて、個人的な理由だけではなく「会社で介護休業や介護休暇を使った前例がなく、適切な対応ができなかった」という理由もあるようです。

オフィスで苦労し、不安を感じているビジネスマン
写真=iStock.com/recep-bg
※写真はイメージです

もし、介護する立場になったら、介護休業制度の活用をお勧めします。

というのは、介護離職すると収入が途絶えるからです。介護で仕事を辞める背景には、親が施設に入りたくないと嫌がり、「私が介護しなければ親がかわいそうだ」という義務感が生まれることなどがあります。心情的には正解なのかもしれませんが、仕事を辞めると、復帰するのは簡単ではありません。高齢ならなおさらです。