豪華自社ビルと「慶応幼稚舎」の共通点
いま百貨店が売り上げを減らし続けています。理由はいろいろ考えられますが、併設していた美術館やホールなどを閉鎖したことも原因の1つです。文化事業である美術館やホールの運営は利益が出ません。そのため銀行が難色を示して、「潰して売り場にしろ」と指導しました。しかし、百貨店にとって美術館やホールは集客商品の一種。閉鎖したことで客足が遠のき、収益商品まで売れなくなってしまった。文化事業は決算書の上ではムダだったかもしれませんが、商売としては必要なムダだったのです。
一方、本当にムダなのは、世間にミエを張るための行動です。たとえば無理して自社ビルを建てたり、受付を豪華にしたり。これらは集客にならない単なるムダです。余談ですが、孫を名門私立幼稚園に通わせたがる社長が経営する会社も危険です。母校(慶応大学)の評判を落とすようなことは言いたくないのですが、そのパターンで会社が傾いた例をいくつも見てきました。お金を使うなら、ミエのためでなく、必要なムダに使う。これは商売の鉄則です。