数字に苦手意識を持つビジネスマンは少なくない。ビジネスに役立つ数字や、覚えておくと得する法則を、硬軟織り交ぜて、数字の専門家やビジネスの専門家たちが指南する。

会社と世の中を動かす5%の人材

「全体の結果の80%は、その要因となる要素の20%によってもたらされる」。これは有名なパレートの法則(80:20の法則)です。パレートの法則はさまざまな事象に適用されていますが、自己啓発の世界では「全体の8割を決定づける上位2割の人材になれ」という文脈で使われることが多いようです。

実は一時的に上位20%に入ることはそれほど難しくない。1年や2年でいいなら、売り上げや収入を増やす方法はいくらでもありますから。しかし、うまくいき続けるとなると途端にハードルが上がる。毎年上位20%に入る顔ぶれは、せいぜい全体の5%。20人に1人です。

長く活躍したいなら、上位5%に入る人材を目指すべきです。具体的な目安はサラリーマンで年収1000万円。給与所得者で1000万円以上をもらっている人は3.9%(『民間給与実態統計調査』2009年)ですから、人材市場でそれに近い評価をもらえる人は上位5%人材といって差し支えないはずです。

では、どうすれば5%に入れるのか。まぐまぐで有料メルマガの責任者をやっていたころ、面白いことに気がつきました。無料配信していたメルマガを有料版に移行すると、だいたいどのメルマガも読者は5%。また私の経験上、出会った人に礼状を出して、返事をいただけるのも約5%。これは偶然でなく、損得で物事を考えない人、あるいは人に何かを与えることに躊躇しない人が5%いるということだと思います。私見ですが上位5%に入るのはこうした層と重なるのではないでしょうか。

ちなみに川で生まれたサケのうち、ふたたび自分の生まれた川に戻ってくる個体は5%弱だとか。つまりサケは選ばれた5%が交配・産卵して、種としての強さを保っているわけです。人間も同じで、つねに上位5%の人が時代を支えて、次世代へとバトンタッチしている。私にはそう思えてなりません。