改革するなら「3:7の法則」を脳の壁に貼れ

ミスタードーナツは、商品構成を少しずつ変化させ、消費者に飽きられないメニューを打ち出してきた。(PIXTA=写真)

ミスタードーナツのフレンチクルーラーやオールドファッションという人気ドーナツをご存じでしょうか。定番として根付いているので創業当初(1971年)からある商品だと思っていたのですが、フレンチクルーラーは73年、オールドファッションは75年で、途中から登場した商品でした。

ミスタードーナツの強さは、昔ながらの味を守りつつ、実は少しずつメニュー構成を変えている点にあります。消費者の心理は厄介なもので、既存商品にすぐ飽きを感じる一方、極端に変化させると離れていきます。同社はちょうどよいバランスで継続的に変化してきたからこそ、消費者に長く支持されているのです。

時代に対応して変化することは大切です。100年以上続いている企業の56.3%は主力商品、70%は、商品・サービスを途中で変えています。例えばいまや携帯電話で世界1位のノキアも、146年前の創業時は製紙会社でした。ただし、ノキアもいきなり製紙業から携帯電話事業に転換したのではありません。長い歴史の間には、ゴム製品やパソコンを作っていたこともあった。つまり絶えず小さな変化を重ねつつ、大きな変革を成し遂げたわけです。

「保守7割、革新3割」という言葉があります。一度に変えていいのは3割まで。それを超えるとどこかに亀裂が生じ、変革がストップしてしまいます。

東日本大震災を体験し「いまこそ何か変えなくては」との思いを抱いている人は多いでしょう。その気持ちを大切にしつつも、慌てずに少しずつ変化させていく冷静さは必要。くれぐれも注意してください。