羽田空港では1日約1300回飛行機が離着陸している

羽田空港では1日約1300回、飛行機が離着陸しています。滑走路をいかに効率よく使い、飛んでいく飛行機、降りてくる飛行機を上手に“捌く”ことができるか、そこは管制官の腕しだいだといえます。1機の飛行機が離着陸にかかる時間(滑走路をその機のために空けておく時間)は、約90秒です。これをもとに、1時間に発着できる便数の限界が物理的に決まります。国土交通省では、空港ごとに発着枠を定めています。羽田は滑走路が4本で、トータルで1時間90枠。その決められた発着枠が、各航空会社の希望スケジュールに割りふられます。

あとは、その「時刻表」通りに、それぞれの飛行機が発着できるように誘導してあげるのが管制官の仕事……ではあるのですが、現実は時間通りにとはいきません。たとえば、飛行機Aの到着が遅れたことにより、あとから来るはずだった飛行機Bが先に着陸するかもしれません。秒単位の細かい調整を行ないながら、過密スケジュールをこなしていくのも管制官の仕事なのです。

離陸にかかる時間も、さまざまな要因で異なります。天候などの環境にもよりますし、パイロットがテキパキと動いてくれるタイプなのか、慎重なタイプなのかでも違ってきます。飛行機のパフォーマンスによっても異なります。飛行機の大きさ、重さ、乗客の数、燃料の量、そんなことも計算に入れながら、管制官は離陸所要時間を予測します。

羽田空港
写真=iStock.com/kameraworld
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空港周辺の空域を管理する「レーダー管制」

飛行機が離陸すると、パイロットは無線をレーダー管制官の周波数に切り替えます。レーダー管制は、空港に設置したターミナルレーダーで空港周辺の混雑する空域を管理する仕事で、管制塔の管制室とは別の「レーダー管制室(IFR室)」で行ないます。

ターミナルレーダー管制は、出域管制(ディパーチャー)と進入管制(アプローチ)に分かれます。出発する飛行機は、滑走路から離陸して間もなく、空港管制からターミナルレーダー室の出域管制に周波数を切り替えます。周波数に入ってきたパイロットに対し、出発席の管制官は「これからは私たちがレーダーを使い誘導します」と宣言します。