90分にこだわるより長く睡眠をとったほうが有利

睡眠の周期はノンレム睡眠とレム睡眠の組み合わせが1つのサイクルです。睡眠中は、このノンレム睡眠とレム睡眠の周期が繰り返されます。

最初に訪れるのがノンレム睡眠で、N1、N2、N3の順で進み、その後、睡眠の深度は浅くなり、しばらくするとレム睡眠に移行します。その後、同じサイクルでノンレム睡眠、レム睡眠……と交互に繰り返していきます。

ノンレム睡眠の深さは時間とともに浅くなり、レム睡眠の時間はだんだん長くなります。深いノンレム睡眠(N3)の人を起こそうと思ってもなかなか簡単ではありません。

一方、レム睡眠の直後にみられる浅いノンレム睡眠の状態にある人を起こせば、スッキリ起きてくれます。ここまでは正しい知識です。

「90分周期」の睡眠神話は、1つの周期を90分として考え、3時間、4時間半、6時間……と「90分の倍数」で起きるとスッキリ目覚める――というものです。

睡眠の周期の長さは、個人差があるうえ、同じ人でも日によって違います。たとえば、同じ人でも1つの周期が60分の日もあれば、120分の日もあり、かなり幅があるのです。「90分周期」はあくまで平均値です。

睡眠が不足しがちな現代人にとっては、「90分」という時間にこだわるよりも、できるだけ長く睡眠をとったほうが有利です。また、周期を意識して快適な睡眠をとるためには、少なくとも最初に訪れるノンレム睡眠をしっかりとることが重要です。

眠れていないときこそ、睡眠神話には惑わされないようにしましょう。

睡眠の質は温度と湿度で決まる

眠いのに、なかなか眠れない――。そんな悩みを抱える人のなかには、寝室の環境をないがしろにしている人も少なくありません。

実は、睡眠の質には温度と湿度が影響しています。睡眠中は、パソコンでいうと電源が入って動いているが、ネットにはつながっていない「オフライン」の状態です。自分ではどうすることもできない状態ですから、それを取り巻く環境づくりはとても重要です。

ベッドで眠る女性
写真=iStock.com/PonyWang
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環境づくりのなかでも、睡眠の質を高めるには、寝室の快適な温度と湿度が不可欠です。暑すぎたり、寒すぎたり、湿度が高すぎたりすると、快適な睡眠が妨げられます。

とりわけ夏は、暑さに加えて湿度が高いため、睡眠中に目が覚める、寝つけない、汗をかくなどの寝苦しさを感じることも多いはずです。また冬は、寒さにより寝つきが悪くなったり、乾燥していることから体がかゆくなったりして眠りの邪魔をします。

「エアコンをつけっぱなしで寝ると体に悪い」と思っている人がいますが、それは都市伝説の1つです。とくに寝苦しい夏にはエアコンは欠かせません。

タイマーを使ってエアコンを切っている人もいますが、ぐっすり眠るという観点からするとあまりおすすめしません。室温は自分が心地よいと感じる温度に設定したり、風が体に直接当たらないようにしたりして、一晩中、エアコンをつけっぱなしにしたほうが良いでしょう。