ひとり息子の芳武さんは死に目に会え、軍歌で送り出した

まもなく芳武さんが病室に到着し、最後の対面を終えると、医師は人工呼吸を止めました。そして、嘉子さんは静かに息を引き取りました。

先ほどの修羅場がまるでうそのように、静かな死に顔だったといいます。69歳でした。

そのとき芳武さんは突然、嘉子さんの髪をゆっくりとなでながら、低く小さな声で「ここはお国を何百里……」と「戦友」を歌い出しました。