よく鬱病になりやすいのは几帳面で真面目な人だといいますが、それは1つのことをとことん追求する性格の表れでもあります。それがよくない方向に作用しているのなら、一方向ではなく、さまざまな方向に思考を分散させることが大事なのです。

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「変えられないこと」を原因にする人はくじけやすい

また、悩みの内容が「何度も仕事の改善策を提案したのに受け入れてもらえない」「契約がまとまらず営業に行くのが嫌になってきた」などという相手ありきのものならば、まず相手との関係性を変える「プライマリーコントロール」を検証し、それでもダメなら自分の解釈を変える「セカンダリーコントロール」を検証してみてください。

プライマリーコントロールで確かめてほしいのは、自分が正しく主張できているか、それが相手に伝わっているかということ。

私がいつも感心するのは、「ジャパネットたかた」のCMです。「この製品に使われているのは世界最新の○○機能です」「だからこんなに早く作業ができるんです」「ですが、女性にはちょっと重いかもしれません」「だけど今これが買えるのはジャパネットたかただけです!」と、やりますよね。起承転結の中で3つ目くらいにネガティブな要素がありますが、実はそこが相手を信用させるポイントなのです。メリットだけを羅列されると、人は「何か隠してるんじゃないのか」と疑念をもちますが、デメリットが最初や最後だと、その印象が強すぎてメリットが打ち消されてしまう。3番目にデメリットを入れるくらいがちょうどよいのですね。

フォアという米国の心理学者は、学生たちに架空の性格テストを実施し、その後「あなたは生真面目だけれども落ち込みやすいところがある」とか「ロマンチックだけれど普段はそれを隠してクールにふるまっている」などと、性格の二面性を指摘する診断結果をつくってランダムに配るという実験をしました。すると偽の診断であるにもかかわらず、95%の学生が自分の心理を鋭く言い当てられたと感じたそうです。もちろんこれは錯覚ですが、人間は二面性のあるものをより信用するという性質があるのですね。だから、プレゼンテーションで相手が耳を貸してくれないなら、あえて弱みを提示して、「これについてご相談したいのですが」と持ちかけるのも有効な手段なのです。