「辛くないガチ中華」というジャンルも増えている
西安を中心とする西北料理の店は「西安麺荘 秦唐記」などいくつもあり、代表的な料理はビャンビャン麺だ。ビャンビャン麺はセブン‐イレブンで、期間限定で発売されていたり、エースコックがビャンビャン麺風のカップ麺を販売したり、「カルディ」が乾麺を発売したりしたこともあり、東京など一部の地方ではかなり知名度が上がっているといっていいだろう。58画の漢字「ビャン」は中国の辞書にもない当て字で、「biang biang麺」と表記する場合もある。辛い麺料理だが、今では専門店もあるほどだ。
西北料理で珍しいのが、東京・池袋駅から少し離れた場所にある「沙漠之月」。甘粛省張掖出身の英英さんが一人で切り盛りする、メニューはなく、わずか数席のカウンターだけの店。西北地方の家庭料理をその日に入荷した食材でパパっと作ってくれる。
ほかに、山西省を代表する料理が刀削麺。ビャンビャン麺よりもさらに知名度は高く、各地の町中華などでもメニューに取り入れているところもあるほど定着してきた。
山西料理で有名なのは新宿にある「山西亭」。同店では莜麺(ヨウミエン)という山西省の珍しい麺料理が食べられる。オーツ麦を筒状にしてハチの巣のような形に包み、蒸した料理(料理名は莜面栲栳栳(ヨウミエンカオラオラオ)でS
このように、一口でガチ中華といっても実に幅が広い。火鍋、ザリガニ、羊肉だけがガチとはいえず、その幅は中華系カフェ、スイーツにまで広がってきている。在日中国人の幅が広がり、多様化していけば、ガチ中華の幅も広がり、多様化していくのは必然なのかもしれない。