「私には判断する権限がありません」と伝えるべき

そのうえで「私には判断する権限がありません。上司から連絡させますので、ご連絡先をお伺いできますか?」という反応を、何度も繰り返すといいです。その際、相手は言葉尻を捉えて「態度が気に食わない」とか、「言い方が悪い」などと話を長引かせようとします。そんなクレーマーに対処する最良の方法は、名前と連絡先を聞くことです。

クレーマーには自分の連絡先を知られるのをイヤがる人が多い。営業妨害で損害賠償を請求される可能性もあるので、連絡先を頑なに言わない人もいたりするのですね。だから、「上司から改めてご説明と謝罪をさせていただきたいので、ぜひ連絡先をお教えください」などと伝えると、勝手に追い込まれて引き下がったりします。

もし連絡先を言われた場合は、上司に電話をかけるフリをして「連絡がつかないので、連絡がつき次第ご連絡差し上げます」と言いながら普通に営業を再開。たまに電話をかけるフリをすると、いたたまれなくなって引き下がったりしますよ。

隣人トラブルは“客観的な証拠”を残すべき

【やっかいな隣人とうまく交渉したい】

・ダメな言い方
枝が伸びているので早く切ってくれませんか?

・うまい言い方
1カ月以内に対処が難しいなら、こちらで切っておきますね(録音)

自宅が一戸建ての場合、隣の家の木から枝が伸びて壁を傷つけられたり、落ち葉がうっとうしいなんてことがあります。そんなときに「迷惑だから枝を切ってくれ」なんてストレートに言えば、相手がムッとして、せっかく購入した自宅なのに今後の近所付き合いが面倒くさくなる危険性もあります。そんなときは「1カ月以内に対処が難しかったら、こっちで切っておきますね」と、相手の気持ちを逆なでしないよう丁寧に伝えれば大丈夫です。

そのうえで後から「言った、言わない」の争いにならないように録音しておくことが大事です。庭の木の場合、法律的には告知をしてから一定期間が経過しても対処しない場合は実行しても構わなかったりします。変に交渉しようとせずに、事務作業的に伸びたら自分で切ってしまうほうが無用なトラブルは避けられます。

ボイスレコーダー
写真=iStock.com/vsviridova
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一方、難しいのは騒音や悪臭トラブルです。直接交渉はトラブルのもとになるので、役所とか警察に通報して来てもらい、第三者から伝えてもらうのがベスト。ただ、実際に証拠があっても、騒音のように人によって捉え方が違う被害だと、「これくらいなら……」と、注意してくれないレベルの音量もあります。そういう場合は正直、第三者に動いてもらうのも諦めるしかないのですね。