欧米が注目する16時間の超簡単な「プチ断食」の習慣

BMIの数値が25以上の人に、食事量を無理なく減らす方法として紹介したいのは、「プチ断食」の習慣です。

「断食」というと、断食道場のようなところに入り、指導者や仲間とともに数日間、何も食べずに行なう、辛く厳しい修行のようなことを想像する人も多いかもしれません。

このような断食では、数日の断食が明けた日から、おかゆのような消化しやすいものから徐々に食べはじめ、胃腸が元の食事量に対応できるように戻していきます。

そうした本格的で厳格な断食に対して、「プチ断食」というものが取りざたされた時期もありました。週末や休日を利用して、8~12時間程度だけの、普通の断食よりもかなり短い期間、断食を行なうというものです。

ただ、まだ時代的に早かったのか、あまり多くの人に浸透することはなく、いつのまにかその言葉も忘れられてしまったようです。

ところが最近、欧米で1回16時間だけの「プチ断食」が流行りだしているのです。それは夕食を食べたあと、翌日の朝食をとる時間を遅らせて、11時か12時に昼食を兼ねた食事、いわゆるブランチをとるという、とても簡単な「一日2食」の食事制限法です。

この16時間断食が、なぜ体にいいのかを説明しましょう。

簡単に摂取カロリーを減らし、消化管に休息を与えられる

なぜ、そんな短時間の断食で、体にいい効果をもたらすのでしょうか?

5つの理由がありますので、順番に説明していきましょう。

第1の理由は、「簡単に摂取カロリーを減らすことができる」からです。

もともと摂取カロリーがさほど多くない人にとっては、効果もほどほどかもしれませんが、それでも食事量をコントロールしていくことはできます。

第2の理由は、「消化管に休息を与えることができる」からです。

おなかを抑える女性
写真=iStock.com/GeorgeRudy
※写真はイメージです

ふだん私たちは意識していませんが、胃や腸のような消化管が食べたものを吸収するには、かなりのエネルギー量を必要とするのです。若いころなら消化のためのエネルギーも無尽蔵に出たかもしれませんが、年をとるごとに限界が近づきます。

そして食べたものがスムーズに消化されずに、いつまでも腸内に留まっていれば、それは腐敗して毒になります。だから臓器は必死に消化しようとするのですが、それも不完全で、どうしても体を害する毒となってしまう……。

さらに、消化ばかりにエネルギーが使用されてしまいますから、そのほかのことに回す余力がない。すると、体の機能回復が追いつかなくなってしまうのです。

それでも必要な栄養素は食事からとる必要がありますが、高齢になった肉体は、若いころほどそれを必要としていません。

必要なエネルギーはとっくに満たされているのに、一生懸命に不要なエネルギーを補充している状態が、私たちの体には起こっているわけです。エネルギーとなる食事量を減らすべきだ、というのは、こういうことなのですね。