食べる量を変えたら、マウスの寿命はどうなった?

2020年代に、アメリカのテキサス大学の研究者が、数百匹のマウスを用いた4年間にわたる実験によって、食事を低カロリーにすることで寿命が10%延長することを指摘しました。

さらに食事を夜間のみに限った場合では、寿命が35%延長するとのこと。

マウスは夜行性なので、人間に置き替えると、これは食事を日中の時間のみに限定することと同義です。

また、最近の臨床を伴った研究でも、中年以上になると、それまでより30%くらい食事量を減らしたほうが病気になりにくく、長生きだということが示されました。

しかもこの研究では、食べるものが野菜ばかりでも、糖質ばかりでも、結果には影響を与えなかったということです。

そこで、「あなたが食べている食事の量は多いのか? 悪いのか?」という問題ですが、まず紹介した研究のように「食べるものがなんでもいい」という説は、今のところ一般的ではなく、指示エネルギー(とるべきとされる一日の摂取カロリーの目安)の割合は、50~60%が糖質、15~20%がタンパク質、20~25%を脂質から摂取するのが望ましいとされています。

「糖質をそんなにとっていいのか?」と疑問を持つ方もいるでしょうが、これについてはのちほど説明しましょう。

そして量については、近年では高齢者の栄養失調も重大問題となっています。量を食べているつもりでも、食事に含まれる栄養素の偏りや、胃腸の吸収力が落ちているので、不足してしまうのです。

お粥
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日本老年医学会が定める「高齢者肥満症診療ガイドライン2018」でも、「減量による利益とリスクを勘案して減量を行なうべきである」としていますが、目安として「BMIの数値が25を超えている」か「それ以下か」で、食事への対処を変えることが望ましいと思われます。

BMI25以上なら、絶対に食事を減らしなさい!

BMIの数値が25以上と高く、普段から間食なども多い傾向にある方は、やはり食事の量を減らすことが、優先してやるべきことになります。

といっても、「それが簡単でない」という人も多いでしょうが、詳しくは後述の「プチ断食」という方法でやり方を考えてみることにしましょう。

一般的に、食事というのは、みんなで一緒に食べることによって人間関係を深めるという面もあり、人生を楽しむための大切な行為でもあります。とくに家族団欒での食事は、夫婦や親子の絆をつくるためにも、欠かせないでしょう。

しかし、子どもが独立し、特別な日以外には一緒に食事をすることもない、といった状況になると、食べる量や食べる回数を変えるチャンスになります。

しかも最近は、会社勤めをしている人でも、アフター5に飲みに行くような風潮は減っていますから、自宅での食事量のコントロールはしやすいでしょう。

そう、逆にいえば、現在は食事に関しては、自己コントロールがしやすい時代になっているのです。自分が健康かどうかは、人生の後半における幸福度に関わってきますから、すべては個々人の意識改革によって決まるといえそうです。

逆にBMIが25以下の方は、しっかりと一日3回の食事をとることが重要になってきます。

とくに一人暮らしの方は、食事をスーパーやコンビニの総菜や単品などで簡単にすます傾向がありますが、できるだけ食材の種類やおかずの品目を増やして、しっかり食べるようにしてください。

とくに2019年の厚生労働省「国民健康・栄養調査結果の概要」によると、BMI20以下の低栄養の人が、65歳以上の男性で12.4%。女性で20.7%も存在しています。

5~6人に一人は栄養が不足していることになります。

そうした方は医師と相談のうえ、必要ならカロリーを多く摂取できるゼリーや、総合栄養ドリンクなど、「栄養機能食品」を摂取するようにするといいでしょう。