本当に売れるサービスとは、どのようなものか。起業家で新規事業・投資に関するアドバイザーの中村陽二さんは「人間や法人が新しいものを買い、日常に溶け込ませるには強い理由が必要だ。そのため何らかのサービスを顧客となり得る候補にプレゼンし、フィードバックを得る際には、『発売されたら買いますよ」という反応をそのままニーズがあると受け取らないことだ。回答の信頼度を上げるためには、『課題解決に向けて行なっている取り組み、それに対して使っている時間や対価、検討プロセス』を聞くといい」という――。

※本稿は、中村陽二『インサイト中心の成長戦略 上場企業創業者から学ぶ事業創出の実践論』(実業之日本社)の一部を再編集したものです。

資料を携えて商談をする二人のビジネスマン
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対象市場・顧客に関する知見を持つ人に聞く

正確かつ鮮度のよい情報を仕入れ続けることを、実業家らは極めて重視している。調査方法は数多く存在するが、ここでは実業家らが実際に行っている方法について簡単に説明する。

鮮度も質も高い情報を手に入れる一般的な方法は、対象領域に関しての知見を持つ人に実際に聞くことである。専門家や業界関係者、顧客、協業先の候補などさまざまな対象が存在する。それぞれどのように接近すればいいかみていこう。

専門家・業界関係者

対象市場に詳しい業界の経営者や投資家などで構成されているコミュニティから得られる情報の価値は高い。ここから得られる情報は対象領域選定や先行者インサイトにつながる重要な情報となる。

特に自社や自分自身が投資関係者であれば、入手出来る情報の量と質は格段に向上する。これがCVCを持つ大きな理由の1つである。

筆者が知る限りでも、このようなコミュニティ経由で得られる情報を重視している実業家や投資家は多い。

本書に登場する実業家たちはもちろんだが、中でもTWOSTONE&Sons共同創業者の高原克弥氏は、経営者・投資家らのコミュニティで情報を仕入れ、多くの企業の情報に関する知見を得ている。経営者・投資家のコミュニティでは外部に開示されない情報が大量に議論されているのだ。