良質なコミュニティから情報を得る3つのポイント

コミュニティというものはあまりに重要であるため、ポイントを3つほど簡単に説明しよう。

①コミュニティに貢献をする

貴重な情報をコミュニティにもたらすとそれは新しい貴重な情報となって返ってくる。新たなコミュニティに招待される機会も多くなる。逆に登場するだけで情報取得だけを繰り返す状態だと、コミュニティに呼ばれなくなる日はそう遠くはない。高原氏のように自らが入手した知見を積極的に共有することで、自らもそのリターンとしての情報を得ることができる。

②発信をする

自分がなにをしたいのか・何に取り組んでいるのかを発信することによって良質なコミュニティに誘われる確率は格段に上がる。例えば筆者は「M&A関係の事業により取り組みたい、自分が思うにはこのような切り口であれば独自性があると考えている」と発信を続けていたところ、多くの人の紹介を受けることができた。方針を発信することにより、重要な人物と出会う機会を引き込むことができる。

③実績がある人らの内部に入る

コミュニティといっても誰とでも話せばいいというものではない。それでは疲弊するだけだろう。自らが実績のある人物になる・独自性を持つことによって、事業に対する知見が豊富な人たちの内部に入っていくことができる。高原氏が情報交換をしているのも実績のある経営者や投資家が主であって、誰とでも会っているわけではない。

プログリットの岡田氏は英語業界に参入する際に業界内部の人間と対話機会を持ち、競合の強さや慣習を把握していった。筆者の場合、知見のない業界に単独で新規参入を進めるときは、アドバイザーと共に進めることも多い。

知らない業界の水先案内人であるアドバイザーと共に進めば、単独よりも格段に早く進める。時間が重要と考える場合は良いアドバイザーを探すとよいだろう。

調査がかなり初歩的な段階であれば、デスクトップサーチに加え、業界内部で勤務している人と話す、展示会に赴くなどして対話をするとよいだろう。

展示会の光景
写真=iStock.com/GermanS62
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協業先候補の企業からフィードバックを得ていく

協業先候補

対象領域において、協業し得る企業から情報を得よう。例えば、ナイルの高橋氏は自動車業界に興味を持ったタイミングでディーラーやリース会社など協業先となり得る会社にアポイントメントを取り、自らのアイデアをプレゼンする機会をもった。

そのようにして、対象領域で先行して事業をしている協業先候補の企業からフィードバックを得ていくのである。アイデアをプレゼンし、フィードバックを得るという方法は極めて有効な情報取得手段である。初期的なアイデアが既にあるならば真っ先に行うとよい。

高橋氏の場合は協業先は共同で商品を作るリース会社となったが、筆者が大企業向けのシステムを作った事例では、販売パートナーとなるSI(システムインテグレーター)と協議しながらサービス像を練り上げていった。

SIは顧客に対してサービスを売り慣れているため、顧客内部状況に関する詳細な情報を持っており、かつ自社の新規事業創出にもつながるため、新サービスに関する議論に付き合うインセンティブを持つ。

相対的には、顧客は何度も議論に付き合うインセンティブを持ちづらいため、複雑なサービスを企画する際はSIのようなパートナーと議論し、サービスを練り上げる方法が有効だ。