ビジネスで儲かるには何をすればいいか。起業家で新規事業・投資に関するアドバイザーの中村陽二さんは「ゼロからサービスを考え、実験し、機能する商品を発見することは非常にコストが高く、不確実であり、時間もかかる。そのため実業家らは、儲かっている・いないにかかわらず、膨大な実験結果を無料で教えてくれるすでに自社が参入したい領域で事業を行っている先行者の情報収集を重視する」という――。

※本稿は、中村陽二『インサイト中心の成長戦略 上場企業創業者から学ぶ事業創出の実践論』(実業之日本社)の一部を再編集したものです。

黒板に書かれた図と赤い電球を見ているビジネスマン
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儲かっている先行者の情報から始める

非常に多く見られ、かつ実用的なアプローチは「儲かっている事例を聞き、自社でも何らかの類似事業に取り組めないか」と考えることである。本書では実業家が使う言葉のニュアンスを直接的に表現するため「儲かる」という言葉をあえて頻繁に用いる。

その企業の内情を把握し、「自社の能力を活用して追撃を行い、勝てる見込みがあれば参入する」という考えで新規事業を次々と立ち上げているのがフリーのエンジニアと企業のマッチング事業を行うTWOSTONE&Sonsである。

例えば人材ではレバレジーズ社、メディアでは当時成長していたメディア会社であったK社(上場企業へ売却済み)、不動産ではGAテクノロジー社、M&A仲介では後発ながら高シェアを持つまでに成長したあるM&A仲介会社のように、対象領域において明確に「儲かっている会社」に注目し、それをマーケティングとエンジニアリングといった自社の強みを活かして追撃して追い越すという考えを基本としているのだ。

実業家らと「なぜそのビジネスを始めたのか」という話をしていると「凄い儲かっている会社の話を聞いて、聞いてみるとあまり大したことなさそうでした。自分らでもできると思いました。特に僕らは営業が強いので、あの会社には十分勝てるのではないかと思ったのです」と返ってくることが非常に多い。如何に先行者から学ぶことを重視しているかがわかるだろう。