「数値」は趣味のように見る

これを効率的に進める方法がデスクトップリサーチである。ここでは特に筆者が意義があると思う調査方法を簡単に紹介しよう。

企業調査

企業調査の優先度は非常に高い。調査対象が上場企業であれば、顧客獲得コストや主力商材、セグメント別利益などの貴重な情報を投資家向け資料で大量に出している。

ここからその企業が儲けている理由をある程度把握することができる。投資家向け資料というのはプロモーション資料なので、自社の強みや成長戦略に関してはかなり割り引いて見る必要があるが、「数値」は特に有効な調査対象である。趣味のように見るとよいだろう。

非上場企業であっても営業資料や採用サイト、経営者インタビューからわかることは多い。

またデスクトップリサーチとは言えないが自分が興味を持っている領域の製品は積極的に利用してみるべきである。例えばAIやXRについて論じるなら真っ先に関連サービスや商品を購入し、利用してみることが大切だ。

YouTube映像は文章よりも情報量が多い

事例調査
中村陽二『インサイト中心の成長戦略 上場企業創業者から学ぶ事業創出の実践論』(実業之日本社)
中村陽二『インサイト中心の成長戦略 上場企業創業者から学ぶ事業創出の実践論』(実業之日本社)

導入事例は貴重な情報である。興味を持ったアイデアがあれば、国内外の類似サービスの導入事例を見るとよいだろう。顧客像、顧客が導入した背景、サービスを選定した理由、得られた効果、今後の方針について記載されている。

ただしこれもプロモーション資料である。掲載されている事例は大成功事例であり、平均的な事例ではないことには注意するべきだ。

筆者は国外企業が自社のプロモーションとして出しているYouTube映像は文章よりも情報量が多く、興味深い情報源であると思っている。趣味のように日常的に見るとよいだろう。

構造調査

「人に聞く」というのは深い情報を得ることができるがデスクトップリサーチよりも格段に時間がかかり、かつ聞ける情報はその人個人の感情を多分に含んでいる(だからこそ価値があるのだが)。

高橋氏は自動車市場に興味を持った際に、この巨大産業がどのような構造で成立しているのかを数値を含め、レポートなどを使い把握していった。

機会がありそうな領域をデスクトップリサーチで絞り、初期的なアイデアを持って人に聞くというプロセスが効率的だろう。

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