検討している人はすぐに動いたほうがいい
以上の通り、今回の改正法の施行には、多くの問題があると考えます。ただし筆者は、今回の改正法の中身自体は、中長期的な視点で見れば、既存住宅の質の向上という観点からおおむね正しいものだと考えます。
最大の問題は、タイミングと準備不足なのです。新築の制度改正で指定確認検査機関等の業務が逼迫することがわかっているのに、同じタイミングで既存住宅のリノベも確認申請の対象にすること、そしてマニュアルの整備や指定確認検査機関の既存住宅対応の体制整備ができていない状況下での施行には問題があります。
なぜ、物価高による内需の低迷により景気が足踏みしているこのタイミングで拙速に施行し、官製建設不況を引き起こすリスクをとるのか、はなはだ疑問に感じます。
では現在、耐震リノベや断熱・気密リノベを考えている消費者はどうしたらいいのでしょうか?
来年4月以降の状況がまったくわからないため、現時点でとれる対策は、3月中に着工するという選択肢しかありません。フルリノベーションの設計や見積り期間を考えると、そろそろ、そのためのタイムリミットが迫りつつあります。
新築住宅価格が高騰する中で、貴重な高性能住宅に住むための選択肢が大幅に狭められる事態に陥りそうなのですから、フルリノベを検討中の方は、とにかく急ぐことをお勧めします。