大真面目に「美男美女税」が議論される理由
もちろん俳優やモデルなど美男美女がより高い所得を得ることに合理的な理由がある職種も存在しますが、多くの場合は仕事と容姿との関連性は見出しにくいでしょう。なぜこのような問題が経済学で重要になるかというと、経済全体の生産性にかかわってくるためです。
先天的な要素も大きい容姿や外見が重視されると、企業、さらには経済全体の生産性を低下させることにつながるからです。そのため、外見の良い人から「美男美女税」を徴収し、悪い人に「不器量補助金」を支給する、という所得再分配政策が議論されることになるのです。
非競争的な市場では「イケメン有利」になりやすい
この容姿・外見と生産性との間でマイナスの関係が生まれる理由としては主に3つ考えられています。
第一に、仕事相手が美男美女であることで顧客の満足度が高まるため、第二に、俳優やモデルなど美男美女であること自体が重要となる職種であるため、第三に、雇用主が好みによって美男美女を採用するため、といった理由です。
第一と第二は実際に生産性が高まっているので、所得が高くなることに問題はないのですが、第三の理由は本人の生産性とは直接的な関係のないところで生じています。
一般に、第三の理由は競争的な市場におかれている企業では起こりにくいのですが、規制などにより非競争的な市場にある企業で起こりやすくなってきます。
こうした市場においては、個人に対する所得再分配とは異なり、規制を排して競争的な市場にするか、あるいは採用を容姿や外見で決めてはならないという規制を導入することが有効な施策となってくるのです。