コスパを評価されている「スリーコインズプラス」
スリーコインズは、2009年から「スリーコインズプラス」として、300円を超える1000円~3000円程度の価格帯の商品開発も手掛けている。お得さはそのままに300円均一の枠を超えた商品は、ユーザーからコスパを評価されて受け入れられている。販売において、300円均一の商品が約6割、「プラス」の高価格帯商品が約4割となっている実態から、「プラス」の商品がスリーコインズの成長の一翼を担っていることがよく分かる(※2)。
2016年からはコラボレーションアイテムの展開を開始し、さまざまなメーカーやブランド、コンテンツとのコラボからヒット商品を生み出している。直近の8月には、スリーコインズが2024年で30周年を迎えたことに合わせて、同じく30周年を迎えた花王株式会社のお掃除商品「クイックルワイパー」とコラボした収納グッズを展開したり、連載30周年を迎えた人気漫画「名探偵コナン」との記念コラボグッズが即完売の大人気を博したり、コラボの積極展開が進められている。
「ついで買い」の好循環を実現
2018年頃には一時、成長の伸び悩みを経験したが、商品や店舗のマーケティング変更に踏み切ることで、再成長を実現した。それまで、20代前半の女性をメインターゲットに想定して流行に合わせた雑貨の展開を重視していたが、最新の顧客データから30~40代の女性の支持が高いことが分かり、メインターゲット層を変更し、「かわいさ」よりも機能性や実用性を強調する方針に軌道修正した。家事や育児に役立つ商品を重点強化し、ベージュやクリーム色の落ち着いた配色に統一、それに合わせて店舗もポップな色合いから落ち着いたナチュラルな色合いに変更した(※2)。
こうしたマーケティング変更が功を奏し、スリーコインズは2019年から再成長の軌道に乗った。コロナ禍で自宅用の食器やキッチン雑貨のニーズが高まったことをきっかけに、2020年からはバイヤーお薦めの日本各地の美味しいものを提案する「ごはんもん」シリーズを展開している。食器やキッチン雑貨のついでに食品も、そのついでに生活や収納の雑貨も、さらについでにファッションやコスメも……と「ついで買い」の好循環を実現している。2023年2月には47都道府県すべてへの出店を達成し、さらなる店舗網の拡大や店舗の大型化を進めている。