第4位 「いったん賃貸住まい」のハードルが高い

思い切って全く知らない土地に移住すると決めたとき、いきなり住宅を購入するのは「賭け」です。都心部に比べ地価や住宅代が安いメリットはありますが、物件の選定には時間がかかるでしょうし、購入費の資金調達に住宅ローンを使おうとすると、当地での職歴を問われることもあるようです。筆者が知る地方某所への移住経験者も、「当地で1年以上の勤務実績がないと融資されない」と言われたそうです。すべてがこういうケースではないかもしれませんが、想定しておいたほうがいいでしょう。

ならば、賃貸物件はどうか。これも、仮に移住時に無職だと賃貸借契約を結びにくいケースがあるようです。住宅を貸す側の立場に立てば、確かに定職に就いている方に貸したいと考えるでしょう。前回記事でも述べましたが、場所によっては賃貸物件そのものが少なく、選択肢が乏しいこともあります。よって、「いったん賃貸住まい」のハードルは思いのほか高いと言えます。

例えば、1年ぐらい公営住宅に住ませてくれるような移住者向けの自治体のサポートがあればハードルは下がるでしょう。実際、移住者向けの公営住宅を用意しているところもあるので、事前の調査は必須です。

サツマイモを収穫している手元
写真=iStock.com/okugawa
※写真はイメージです

第3位 移住費用はそれなりにかさむ

筆者が夫と2人で首都圏から東北の県に移住するときに使った総費用は約300万円でした。内訳は以下の通りです。

・住居を借りる費用:約35万円

築浅の2LDKのアパートを借りるために不動産仲介業者に払った費用です。1.5カ月分の前家賃と家賃1カ月分の仲介料、火災保険料が込みです。生活に便利な場所で冬の降雪対策で融雪装置が駐車場と歩道に導入されている物件を選んだので家賃は周辺相場より少し高かったかもしれません。とはいえ、西日本出身の夫は雪かきの経験がほとんどなかったので、融雪装置付きの物件を借りたことは冬の生活を快適にしてくれました。

・引っ越し費用:約37万円

これはモノの量と作業の量、移動する距離によるでしょう。筆者は移住時に時間がなかったので、梱包も業者にお願いしたのでやや高額になったと思います。

・家具や家電などの購入費用:約30万円

これは、すでに所有しているものなどをそのまま使うのであれば、発生しませんからその世帯によって金額が変わると思います。

・乗用車購入費用:約200万円

首都圏時代は駐車場の高さがネックで乗用車所有を諦めていましたが、地方では移動の必需品だろうと考え、5ナンバーの新車の小型車を購入した費用です。

乗用車の値段や引っ越しの費用は10年前に比べると現在は上昇していると思います。

300万円は10年前のわが家の例です。どんな移住をするかによって金額は異なりますが、最低限の初期投資が必要なのが地方移住です。筆者の例が参考になれば幸いです。